第108回全国高校野球選手権大会では、大会を担う審判が携わる部分で3つの改革が行われている。派遣審判員を8人から16人へ倍増、女性審判の起用、そしてビデオ検証の導入だ。尾崎泰輔大会審判副委員長(日本高野連審判規則委員長)が19日までに日刊スポーツの取材に応じ、今大会での派遣審判員たちの活躍ぶりなど“3大改革”への受け止めを語った。【取材=平山連】

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派遣審判員は1963(昭38)年に国体開催地の審判員を育成するため、夏の全国大会へ審判を派遣する制度としてスタート。73(昭48)年からは各都道府県の高校野球連盟全体の審判育成へと目的を広げ、全国から順次派遣する形に拡大した。従来は球審以外の全てのポジションを担当するように割り当てられていたが、今大会からは派遣審判員の人数を8人から16人へと増やした。

「これまでは大会前半(開幕~2回戦前半)に8人を派遣し、主に塁審を3試合ほど経験して帰ってもらう形でした。今回は後半(2回戦途中~3回戦)にも8人を派遣し、割り当て制限を設けずに球審も含めて担当してもらいました。甲子園の球審は試合時間や進行の管理も含めて非常に難易度が高く、大きなチャレンジでしたが、実に見事に裁いてくれた」

-どのような狙いがあるのでしょうか

「狙いは大きく2つあります。1つ目は全都道府県で高校野球を支える体制をより広げていくことです。甲子園でジャッジした経験を地元に持ち帰ってもらうことで、各地域の活性化や審判技術の向上につながります。2つ目は少子化や人口減少を見据えた『高校野球を持続可能にするための試み』です。参加する裾野を広げ、地域や世代を超えてみんなで支える仕組みを作っておくことが、100年後、200年後も高校野球を残していくために不可欠だと考えています」

-特に球審を務める審判員のプレッシャーは相当あったと思います

「重圧からの解放、やり遂げた達成感、憧れの場所でジャッジした喜びなどが合わさって、試合後に涙する審判員の方々を何度も見てきましたし、今回グラウンドに立った派遣審判、女性審判の方々もそれは同じでした」

-批判のリスクを抱えながらも、なぜあえて派遣審判の役割をここまで広げたのでしょうか

「慣例通りの運用にとどまっていたら、高校野球そのものが廃れてしまうという覚悟があるからです。リスクを取ってでも全国の現場で汗を流す審判たちにチャンスを開放し、未来の高校野球を支える人材を育てる。今必要なのは『フィードフォワード(将来からの逆算)』の発想だと考えています」

-今回の大会では、女性審判の起用やビデオ検証の導入も大きな話題となりました。これらも同じ文脈にあるのでしょうか

「まったく同じロジックです。これまで男性中心だった審判組織に女性が加わることも、これまで参加していなかった人たちに関わってもらい、みんなで高校野球を支えるという人口減少対策の一環です。また、ビデオ検証は選手のためにテクノロジーを活用するという目的で導入しています。人間の視点は1つですが、別角度からの映像技術を組み合わせて判定の正確性を担保し、選手が納得できる形で試合を進めるための取り組みです」

 

大会をサポートする審判員のすそ野を広げ、テクノロジーも生かしながら人口減少時代における持続可能な高校野球の未来を模索していく。尾崎氏の言葉にはそんな思いが詰まっていた。