メジャーでは、毎年、7月31日が近づくと、球界全体がソワソワした感じになります。言うまでもなく、トレード期限が迫っているからですが、今年は特にレンジャーズのダルビッシュの名前が市場で大きくクローズアップされていることもあり、日本のファンもヤキモキしているのではないでしょうか。

 このトレード期限は、各球団にとって、公式戦の後半戦での戦い方を意味します。本気でプレーオフ進出を目指すチームは「Buyer(買い手)」として積極的に補強へ動きます。一方、プレーオフ進出が絶望的なチームは、「Seller(セラー)」として主力を放出し、他球団の若手有望株を獲得。来季以降へ向け、チーム再建をスタートさせます。

 今季の場合、すでにヤンキースがホワイトソックスから強打のフレイザー、救援右腕ロバートソン、カンリーを獲得するなど、動きは活発化しています。このほか、地区首位を快走するナショナルズ、ツインズなどは「買い手」として、トレード市場に触手を伸ばしています。

 そんな中、レンジャーズは、依然として方向性を決められない状況にいます。球宴までの前半戦を借金「2」でターンしたレ軍は、後半戦再開後に2連勝して勝率5割に復帰しました。ところが、そこからズルズルと5連敗。「売り手」に回る可能性が高まったため、今オフ、FA(フリーエージェント)になるダルビッシュを放出するとのウワサが、一気に現実味を帯びてきたわけです。

 もっとも、21日からのレイズ戦で3連勝。再び「圏内」に入ってきました。残り60試合を35勝25敗ペースでいけば、貯金「10」のプラスが可能で、ワイルドカード争いに食い込めます。実際、ダニエルGMは「我々は今年勝つことを考えている」と、まだ白旗を上げていません。ただ、期限までに黒星が重なるようなことになれば、あっさりとギブアップ宣言する可能性も捨てきれません。

 現時点で、ダルビッシュは次回26日(日本時間27日)のマーリンズ戦に登板する予定です。トレードの有無にかかわらず、ダルビッシュにすれば、チームの勝利のために好投を続ける以外にありません。

 いずれにしても、最終期限の31日までの1週間は、予断を許さない日々になりそうです。

【四竈衛】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「メジャー徒然日記」)