渡辺史敏のアメリカンリポート

サイン盗みアルトゥーベへのブーイングは続くのか

アストロズが行ったサイン盗み事件の余波が依然続いている。MLBのスプリングトレーニングではオープン戦が開始されているが、現地24日に行われたドジャース戦で初打席に立ったホセ・アルトゥーベ内野手が大ブーイングを受けたのだ。

アストロズ・アルトゥーベ(2019年10月15日)
アストロズ・アルトゥーベ(2019年10月15日)

ベネズエラ出身のアルトゥーベは走攻守に優れた選手として知られ、これまで6度オールスターに選出され、5度のシルバースラッガー賞に輝いている。2017年にはワールドシリーズ制覇に貢献しただけでなく、ア・リーグMVPも受賞しており、将来殿堂入りは確実と見られてきた。

が、その2017年のワールドシリーズと2018年シーズンにアストロズが電子機器を使用したサイン盗みを行っていたのである。この件に対しチームは1月13日にジェフ・ルーノーGMと共にAJ・ヒンチ監督を解任した。さらにMLBは2人に対し無報酬1年間の出場停止、チームには規定で最も重い500万ドルの罰金と2020年、2021年のドラフト1巡目、2巡目の指名権剥奪という処分を下している。

その一方でサイン盗みは選手主導でも行われたという指摘もされている。特にアルトゥーベが球種を知らせるためのブザーを身につけていたという疑惑が出て、本塁打を放った際にブザーを隠すようなしぐさをしたとするビデオが報じられたりもした。ただMLBやジム・クレーン・オーナーは選手に対する処分は下していない。

これに対しアルトゥーベはクレーン・オーナーやダスティ・ベイカー新監督、チームメートのアレックス・ブレグマン内野手と2月13日に謝罪記者会見を行っている。ブレグマンが「私のチーム、組織、そして私が行った選択を本当に謝罪します。このことから学び、ベースボールファンの信頼を取り戻したいと思っています」と述べたのに対し、アルトゥーベは「2017年に起こったことに対しアストロズの組織全体とチームに不快だと言いたい。ファンとベースボールのゲームに与えた影響を後悔している。そしてチームは前進することを決めた」と、どこか他人事のような発言をし、さらなる反感を買ってしまったのだ。

ドジャース戦での第1打席ではスタンド全体からブーイングの嵐が降り注ぎ、「詐欺師野郎」というヤジまで飛ぶ事態となった。5回の第3打席には死球まで受けている。

当のアルトゥーベは「すごくうるさかった。ただそれだけ」と気にしていないそぶりだったそうだが、こうした逆風は今後も吹き続けることになりそうだ。

◆渡辺史敏(わたなべ・ふみとし)ジャーナリスト。1964年生まれ。兵庫県出身。明大卒業後、科学雑誌出版社勤務を経て、95年渡米。 MLB、NFLなど米プロスポーツと、IT分野で取材・執筆活動を行う。14年3月帰国。 独自の視点で米国メディアの報道を分析、スポーツビジネスのリポートなどに定評がある。

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