イチローもキンチョーしちゃった!? 今季からマーリンズに移籍したイチロー外野手(41)の、メジャー15年目は凡退スタートとなった。ブレーブスとの開幕戦、1点を追う8回無死で投手の代打として登場。2ボールから、快速救援ジョンソンの内角151キロにバットを繰り出したが、一塁ゴロに倒れた。

 41歳にして新天地で迎えるシーズン。「そりゃ緊張もするし、心も動くし、複数の要素が混在してました」と、さまざまな思いが交錯した。「ただ、緊張してパフォーマンスが上がることはない。その中で結果を出していかないと」。球場入り時の服装は、殺虫剤キンチョールをもじった「キンチョースル」Tシャツ。何度経験しても、開幕戦の空気は独特だった。

 マ軍初安打は2戦目以降に持ち越した。それでも、地元ファンの温かい歓迎ムードは痛いほど伝わった。打席に向かうイチローに対し、完売札止めのスタンドには、立ち上がって拍手を贈るファンの姿。背中にはマリナーズ時代の12年7月以来となる背番号「51」。「あんな風に迎えてくれれば…。僕だって心は動くでしょう」と感慨に浸った。

 試合前セレモニーではアナウンスに合わせ、ダッグアウト上部の三塁側スタンドから登場。メジャーでも珍しく、取り囲むファンとハイタッチを交わしながらグラウンドへ向かった。

 「控え」の役割を受け入れるのは簡単ではない。それでも試合は続く。「前に向こうとするのは、前向きな人間なら当たり前。後ろを向きたい人は別だけど。そういう人たちは、ここではやっていけないですから」。試合は競り負けて黒星発進となった。だがメジャーのユニホームを身にまとうことの意味と重さを知るイチローが、目先の勝敗だけを見ているはずもない。【四竈衛】