エンゼルス大谷翔平投手(23)が、持ち前の“修正能力”を発揮した。ブルワーズのマイナーとの練習試合(2回はツーアウトでチェンジの特別ルール)に登板し、8つのアウトをすべて三振で奪った。ゴロが野手の間を抜ける安打もあり、2回2/3を4安打2失点だったが、前回は制球できなかったスライダーが武器となり、確実な進歩を示した。

 球審の判定を待たずに、ベンチへ足を向けた。最後は114キロのカーブ。虚をつかれた打者は固まったまま。見逃し三振で、大谷は奪三振ショーを締めくくった。「前回の反省を踏まえて、やることを確認できましたし、大きな収穫はあった。確実に1歩ずつ前進しているかなと思います」。特別ルールのため、3回を投げて奪ったアウトは8つ。すべて、三振だった。

 大谷のずばぬけた才能のひとつだ。先月24日の投手デビュー戦で制球に苦しんだスライダーを、この日は面白いように操った。1、2回は左打者の外角からストライクゾーンへ投じ2つの見逃し三振。3回には昨年のドラフト1巡目(全体9番目)の右打者ヒウラから、外へ逃げるスライダーで空振り三振を奪った。17球投じたスライダーは、ボール球が3つだけ。前回登板後には踏み出す左足や、左腕の使い方などを重点的に見直し、前や横の角度から投球フォームを映像でもチェックした。体重移動のバランスが修正され、球が荒れなくなった。

 修正能力の高さは、日本ハムの吉井投手コーチ、厚沢ベンチコーチらも認める大谷の才能のひとつだ。どこが悪く、どこを直せばいいのかを理解し、そのイメージを体現できる。「すぐに自分で修正できるのはいい投手の条件」(吉井コーチ)。試合中でも、イニング間に修正できてしまうこともザラで、2回4失点のKOペースから一転、その後は1本の安打も許さずに完投勝利をおさめたこともある(16年5月1日、対ロッテ)。

 154キロ直球でバットをへし折った打球が内野安打になり、ゴロが野手の間を抜けていく安打で2失点は喫した。「まだちょっと、(打者の)手元での力は足りないんじゃないかなと思う。相手も変わればどうなるか分からない」。マイナー相手ということもあって結果に満足はしないが、1軍(メジャー)の試合前練習を抜け出して視察したソーシア監督も、ひと安心する快投だった。【本間翼、斎藤庸裕】