ヤンキース田中将大投手(30)が7回途中4安打2失点、無四球2奪三振と好投し今季9勝目(6敗)を挙げた。

この白星で日本人メジャーで初の6年連続2桁勝利まであと1勝と迫った。「全体的にいい投球ができたと思います」と納得する一方で、「最後に詰めの甘いところが出てしまった。救援がつないでくれたおかげで勝つことができた」と反省点も付け加えた。

8回0封した11日に続く好投で連勝。要因は、田中特有の探求心と変える勇気だった。自己ワーストの12失点でKOされたレッドソックス戦(7月25日)の後、生命線ともいえる宝刀スプリットの握りをフォーク気味の深めに修正した。「微調整するだけの、いたって普通にようやくなってきました」。前回登板からは、ノーワインドアップ、セットとも、胸の前だったグラブの位置をベルト付近に変更。球種がバレるリスクを最小限まで削った。

スプリットに本来のキレが戻れば、三振を避けたい相手打線に早打ちの傾向が表れ、おのずと田中のリズムもアップする。ソロ2被弾の課題が残った一方で、83球の省エネ投球こそ、田中の投球の基本形だった。「メリハリを付けながら自分なりの投球ができたと思います。答えというか、方向性が見えているというのは大きいですね」。独走V、その先のポストシーズンへ向けて、田中が満を持してアクセルを踏み始めた。(ニューヨーク=四竈衛)