エンゼルス史上12度目のノーヒッターが誕生した。22歳の左腕リード・デトマーズが、ルーキーではメジャー史上25人目の無安打投球を達成した。108球を投じて許した走者は四球と一塁手の失策による2人のみで、エンゼルスでは2019年7月12日以来3年ぶり、わずか通算11試合目の先発で快挙を演じた。エンゼルスの前回ノーヒッターは2人の継投だったため、1人では2012年5月2日ツインズ戦のジェレッド・ウィーバー以来。左腕では1970年7月3日アスレチックス戦でのクライド・ライト(元巨人)以来となった。球団の逸材ランキング1位にも挙がっていたデトマーズとは?

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デトマーズは今季開幕前の有望株ランキング、いわゆるトッププロスペクトで球団NO・1評価を受けていた。祖父は元大学フットボールの選手、父クリスさんはカージナルス傘下の元マイナー選手というスポーツ一家。父が最後の所属となった米独立リーグ時代の2000年、当時まだ1歳だった息子リードが始球式に登場。ホームベースから3メートルぐらいの位置から、父と同じ左手できれいな球筋の1球を投じ、周囲に「投手になるために生まれてきた」と言わしめた天才児だった。

その父から「メンタル面を鍛えられた」と多大な影響を受けた。高校時代からプロ注目の投手に成長し、大学は強豪のルイビル大に進学。2年時の2019年に大学球界最多の13勝を挙げ、同7月には日米大学野球で来日。第3戦に先発して5回1安打無失点、当時明大の森下暢仁投手(現広島)に投げ勝ち、日本でも話題になりました。

大学3年時は新型コロナウイルス感染拡大の影響でわずか4試合の先発登板ながら3勝0敗、防御率1・23。22イニングで48奪三振という圧倒的な成績を残した。

そして20年に、ドラフト1巡目(全体10位)でエンゼルス入団。当時、ファームにはめぼしい先発投手がおらず、アマチュア担当スカウト部長のマット・スワンソン氏が「我々にピッタリ」と大喜び。本人も「オオタニと一緒にプレーするのが楽しみだ」と、ともにプレーする日を心待ちにしていた。

その年はコロナ禍でマイナーリーグが中止となり、本格的なプロデビューは昨季から。米球界では異例の傘下2Aからスタートし、6月には6イニングで16奪三振。速球は時速92~95マイル(約148~153キロ)と決して速くはないが、同じ左腕クレイトン・カーショー(ドジャース)のようなカーブが最大の武器。同7月にヤンキースへ放出した左腕アンドリュー・ヒーニーに代わって、早くも8月1日に大リーグでデビュー。同15日アストロズ戦では初勝利をマークした。

昨季は5試合先発し、20回2/3を投げて1勝3敗、防御率7・40。今季はメジャー2年目だが、通算50投球回未満で開幕を迎えており、新人王の有資格者となっている。いずれは、大谷に次ぐ先発2番手として期待され、エース左腕候補に挙がっている。

◆リード・デトマーズ(Reid Kristien Detmers)1999年7月8日、米イリノイ州生まれ。グレンウッド高校ではドラフト32巡目(全体950位)でブレーブスから指名されるも拒否して進学。ルイビル大学から20年ドラフト1巡目、全体10位でエンゼルス入団。21年にメジャー初昇格。今季は6試合で2勝1敗、防御率3・77。通算は11試合(すべて先発)で3勝4敗、防御率5・23。父クリスさん(47)は左投げ両打ちの元マイナー選手(カージナルス傘下)。マイナーでは3Aまで昇格し、94~99年に143試合に登板して50勝52敗、防御率4・33だった。188センチ、95キロ。左投げ左打ち。