【トロント(カナダ・オンタリオ州)27日(日本時間28日)=斎藤庸裕】ドジャース大谷翔平投手(29)が、花巻東(岩手)の先輩からメジャー自己最速となる強烈な打球を記録した。ブルージェイズ戦に「2番DH」で出場し、先発の菊池雄星投手(32)から3打数1安打1打点。第2打席に放った右前適時打で、自己最速を更新する打球速度119・2マイル(約191・8キロ)をマークした。チームは菊池から4得点を奪い、6連勝で今季最多の貯金7とした。

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同郷対決が、互いのベストを引き出した。花巻東の先輩と後輩。過去最高の状態で、2人がぶつかった。2回2死一、三塁。カウント2-2から、菊池は5球目に渾身(こんしん)の1球を投げ込んだ。この日最速の98・2マイル(約158キロ)。内角高めを攻めたが、大谷は力負けしなかった。一、二塁間を抜けた強烈な当たりは、打球速度119・2マイル(約191・8キロ)。メジャーで自己最速を更新した。

追いつき、追い越し、自然に高め合ってきた。初対決は19年6月8日。大谷との対戦で、菊池の最速は94・1マイルだった。当時と比べ、今回は4マイル(約6・4キロ)増。昨年は初の2ケタ11勝を挙げ、キャリアハイをマーク。スピードも球質も格段に上がった。

一方の大谷は年々、フィジカル強化でパワーアップと技術の進化を組み合わせ、昨季は日本人初となるリーグ本塁打王のタイトルを獲得。両者ともに世界最高峰のリーグで自らを磨き、全力でぶつかりあった。

菊池から強烈な右前適時打を放った大谷は5打数1安打1打点で、チームの6連勝に貢献。苦しんでいた得点圏で好球必打に徹し、過去最速の打球をマークした。ロバーツ監督は「信じられないくらい素晴らしい」と絶賛し「低めのボール球を見送り、打つべきゾーンのボールを強く打ち返した。ストライクゾーンの見極めが安定してできれば、これからもいいことが起こる」と高く評価。打席での大谷のアプローチに関して正しい方向に進んでいると、ベンチ内でも念を押した。

4回1死一塁の第3打席は、菊池から狙い通りにカーブでタイミングを外され、ヘルメットを飛ばすほどの豪快な空振り三振を喫した。どちらかが上回れば、またどちらかがリベンジする。ロバーツ監督は試合前、「野球が世界的に注目を集めるのは素晴らしいと思う。(同じ高校だった)彼らが今メジャーリーグで戦っているのは、とても特別なこと」と目を細め、野球界のさらなる発展を期待した。互いに特長を生かし、見せ場を作った3打席。しのぎを削る同郷の戦いは、まだまだ続く。

▼大谷が2回に菊池から放った右前適時打は、打球速度が119・2マイル(約191・8キロ)。22年4月10日アストロズ戦で打った右二塁打の191・7マイル(191・7キロ)を更新する自己最速となった。今季のメジャーリーグ全体でも、大谷自身がマークした23日の右越え本塁打の118・7マイル(約191キロ)を超えて、最速となった。119マイル(191・5キロ)以上が3度は、計測開始の15年以降、スタントン(32度)ジャッジ(9度)に次いで3人目。