ドジャース山本由伸投手(27)が連投でリリーフ登板し、2回2/3を無失点の好救援でチームを初のワールドシリーズ(WS)連覇に導いた。今WS3勝を挙げ、MVPに選ばれた。斎藤庸裕記者がコラム「Nobu’s Eye」で山本の人柄に迫った。
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山本は、人を救うような力がある。取材を始めてからまだ2年目だが、そう感じることが多々あった。今季、何度か個別に時間をもらった。登板間の調整で立ち止まってもらうため、ルーティンを邪魔しないよう気を使いながら問いかける。すると「リボ払いでいいですよ、手数料なしで」とニヤリ。もちろんジョークだが、そんな軽妙なやりとりに緊張感をほぐされる。調整の合間をぬって対応してくれることに毎回お礼を伝え、「またお願いします」と返事が来る時は、ほっと胸をなで下ろす瞬間だ。
各登板後には囲み取材が行われる。黒星を喫した直後は悔しさもあり、口数が少ない。それでも時には、厳しい質問を投げかけなくてはいけない状況もある。ある試合後、山本にとっては屈辱的な答えを導いてしまうことがあった。返答は一言、「ハイ」。不機嫌そうな表情に「しまった…」と感じ、その後はしばらく、取材を控えていた。数週間後、クラブハウスで山本に近づいた。雰囲気を伺おうと思った途端、先に声をかけられた。「元気ですか?」。何げない問いかけだが、救われる一言だった。
ポストシーズン中にも少しだけ雑談する機会があった。シーズンオフの過ごし方などたわいのない話題の最中、山本から「お子さんは現地の学校にも慣れましたか?」と、逆取材を受けた。自然な笑顔で、和やかな雰囲気に包まれた。もちろん、まだまだ知らないところはたくさんある。だが、自然と人が集まる、山本由伸の不思議な魅力が感じられた。
◆山本由伸(やまもと・よしのぶ)1998年(平10)8月17日、岡山県生まれ。都城では甲子園出場なし。16年ドラフト4位でオリックス入団。ノーヒットノーラン2度。21~23年に史上初めて3年連続4冠(勝利、勝率、奪三振、防御率)を達成し、3年連続沢村賞と最優秀選手。21年東京五輪、23年WBC優勝。23年オフにポスティングシステムでドジャースに移籍し、12年総額3億2500万ドル(約488億円)の大型契約を結んだ。178センチ、80キロ。右投げ右打ち。



