熱投を東北に届けた。宮城・仙台市出身のヤクルト由規投手(25)が、オリックス戦に先発。東日本大震災から4年がたったこの日に志願登板し、3回を1安打無失点に抑え、オープン戦で2試合連続無失点と好投した。震災が発生した時刻の午後2時46分のマウンドにも立ち、右肩手術からの復活を印象づける直球を投げ込んだ。
時計の針は午後2時46分を示していた。ヤクルト由規はマウンドにいた。3回先頭のT-岡田にこの日初の走者を許す二塁打を打たれ、無死二塁。次打者の駿太に1ストライクからの2球目、139キロの外角直球を投じた。東日本大震災から4年。「どれだけの人が見てくれているか分からないですけど、自分のピッチングが被災された方に届けば。ここまで投げられるようになったと、東北の人に伝えたかった」と1球1球に祈りをこめた。
震災被害の大きかった宮城・仙台市で生まれ育った。今日12日の登板も選択肢に含まれていたが、11日を迷わず選んだ。「震災があった年に(11年9月に右肩を)ケガをして…。自分が復帰していくことが、東北の人に何かしら勇気づけられるものになるのかもしれない」。ベストメンバーに近いオリックス打線を相手に「中途半端なピッチングだけは出来なかった」と、気力を奮い立たせた。
見せ場は3回1死三塁。伏見への6球目だった。内角ギリギリを突く144キロ直球で空振り三振。「逆球でしたけど、三振が欲しい場面で取れたのは大きい」とうなずいた。3回無死二塁から後続3人を抑えた。最速は150キロ。2回2死走者なしでは、小谷野から内角高め149キロで空振りを奪った。「自分の持ち味は直球。直球主体で押し込みたかった」と武器のイメージも、戻りつつある。
特別な日の登板は2度目。3年前の12年3月11日のオープン戦(広島)にも登板したが、右膝を打球が直撃するアクシデントに襲われ、3回途中で無念の降板を余儀なくされた。そして同20日のオープン戦(対巨人)を最後に、今年2月22日の日本ハム戦に先発するまで1軍マウンドから遠ざかった。今季を「僕も3年半投げていない。復興とかけてじゃないけど、復活の年にしたい」と位置付けていた。
ただ完全復活までの道は甘くない。2試合連続の無失点にも、高津投手コーチは「スタミナが足りない。降格ではなく調整。100球など、試合をつくるスタミナが付けば呼びたい」と2軍行きを告げた。先発投手として、長いイニングを投げる力を求められた。由規は「今までで一番前進している。ゼロからのスタートではない。前向きに捉えたい」。東北への思いを胸に、公式戦の1軍マウンドに必ず戻ってくる。【栗田尚樹】




