日本ハム中田翔内野手(25)が、3号満塁弾で5連勝を引き寄せた。1点をリードした5回2死満塁。オリックスのドラフト1位左腕、山崎福の135キロを“打ち損じた”。高々と舞い上がった放物線。悔しさのあまり、右手でバットを投げ捨てていた。「打った瞬間は悔しかった。レフトフライかと思った」。本人が一番驚いた。打球はフェンスの上で弾んだ。昨年7月25日楽天戦以来、自身2本目のグランドスラムだ。

 満塁の響きに、4番の嗅覚は鋭く反応した。この日、チーム3度目の満塁機。逃せば「流れをもっていかれるからね」と試合の潮目と読んだ。「甘いボールが来ることだけを願った」。望みはかなったが、バットの芯は外した。それでも「しっかり打てなかったけど、自分の1本で勝てたのはうれしい」。満塁時の通算打率3割7分。データ通りの結果に笑みがこぼれた。

 鍛錬を重ねた技術で、スタンドへねじ込んだ。豪快な言動と裏腹な、繊細な感覚の持ち主。試合前練習では通常より重いマスコットバットを使うことを嫌う。「重いのを振って、スイングスピードが速くなるわけじゃない。試合では使わないしね」。準備段階から実戦モードで調整。打席ではインパクトの瞬間にこだわる。意識の大半はバットが当たる角度、右手での押し込みに置く。「スピンをかけたい」。重力に逆らい、遠くまで白球を運ぶ方法を追求する。左飛と勘違いした打球も磨き続けるスイングでひと伸びさせた。

 栗山監督は「普通です。ああいうところで打ってくれるのが中田翔。やる時は、やってくれる」と評価した。チームは同一カード3連勝。「調子のいい打者が多いし、いい感じやと思う」。好スタートを切った日本ハムには、頼りになる主砲がいる。【木下大輔】