日本ハム岡大海外野手(23)の好守が、チームの危機を救った。20日の楽天戦で、1点リードの8回裏2死二塁、一打同点のピンチに藤田の打球をダイビングキャッチ。スーパープレーで失点を食い止めた。14日西武戦の走塁中に頭部を強打した影響で5試合ぶりの先発復帰は、安打こそなかったものの、存在感を発揮した。順位は3位のままだが首位ソフトバンク、2位西武とはゲーム差なし。首位奪回へ大きな1勝を手にした。
ターゲットを視界に捉えた。トップギアに入れた。岡が、右中間へ駆けた。1点を勝ち越した直後の8回2死二塁。楽天藤田の打球に、最短距離で向かう。敵地ファンは同点と確信した。拍手とともに一気に沸いた。トップスピードに乗せると、トーンダウンしていく。全身を人工芝に預け、グラブを差し出した。白球を追い越しそうな勢いで、滑り込んだ。ダイビング好捕。緊迫した展開、傾きかけた流れを止めるビッグプレーが、さく裂した。
岡 無心で捕っただけ。集中していたので、いいスタートが切れました。
前夜。痛恨の逆転負けを喫した。決勝打を放ったのが藤田だった。同じ8回。フラッシュバックするようなシーンを、反転させた。2試合連続のヒーローの座を逃したベテランも、脱帽した。
藤田 詰まってはいたけれど落ちると思った。岡だから追いついたんでしょうね。昨日(19日)で運を使い果たしたかな。でも、いい守備でした。おかげでヒットを1本、損しました。
鮮やかなカムバック劇は、奇跡の生還だった。14日西武戦の走塁で頭部を強打した。3回1死三塁から一ゴロを放ち、本塁を狙っていた三塁走者の行方をチェック。視線を外し、そのまま巨漢メヒアと激突した。転倒し、後頭部をグラウンドに打ちつけた。直後は強行出場したが、途中交代して病院で直行して精密検査を受けた。翌日は札幌市内の合宿所で静養。この日まで大事を取って欠場し、復帰初戦で躍動した。
明かされていなかった舞台裏は、壮絶だった。その試合中に意識が、もうろうとした。記憶喪失の状態に陥ったという。生々しく証言した。「サインとかが、分からなくなって…。覚えていない」。一部のシーンが脳裏から消えるほどの衝撃。恐怖にも襲われていた。「自分がやってしまったことが悪い」と責める日々から、解放された。昨年の春季キャンプで手動計測で100メートル11秒1をマークした快足をフル稼働させた。トラウマを振り払い、果敢にダイブした。「浦野さんの(今季)初勝利がかかっていたので、何とかしたかった」。4打数無安打も、献身さあふれる守備で接戦を仕留めた。
栗山監督 気持ちは分かる。最後まで絶対に(打球を)離さないというのが、伝わってきた。
記録は中飛だが価値は尊い。記憶に残るスーパーキャッチが、会心の1勝の隠し味だった。【高山通史】
◆西武戦VTR(14日、札幌ドーム)3番中堅で先発。3回の第2打席で一ゴロを放ち、一塁への走塁中にメヒアと接触して転倒。頭部を強打した。ベンチで治療後、5回まで出場を続けたが途中交代。その後、札幌市内の病院で精密検査を受け、脳に異常は見られなかったが、15日オリックス戦から欠場が続いていた。



