野球の怖さは前夜、嫌というほど体感させられた。何が何でも追加点が欲しい場面。阪神上本博紀内野手(28)が快音を響かせた。わずか1点リードの7回2死一、二塁。上野の外寄り低めスライダーをコンパクトに強振した。
「いつもと一緒です。特に何も意識はしていませんでした」
前進守備を取ったロッテ外野守備陣の動きにも平常心を保ち、左中間最深部フェンス付近まで大飛球を運んだ。リードを3点まで広げる2点二塁打。岩貞の今季初勝利、チーム2連勝の確率を一気に高めた。
2日は9回に逆転満塁弾を浴びた。前日3日は8点リードの7回にまさかの8失点。ロッテ打線の勢いに警戒感が高まる中、選手会長のひと振りがチーム全体、そして虎党にパワーを与えたのは間違いない。
打撃不振にリーグワーストの9失策も重なり、二塁レギュラーの座は不動ではなくなった。ただ、上本自身はそもそも開幕前から自らをレギュラーと位置づけてはいなかった。
「まだ1年出ただけ。何試合か調子が悪かったらすぐ変えられるだろうな、というのは分かっている。自分は結果を残すしかない」
自力ではい上がるしかないことは理解している。練習中から名手鳥谷に指導を仰ぐシーンは何度も目撃されている。現状打破へ、必死でもがいている。
3日は今季初の4安打を決め、この日も2安打。上昇気流に乗りそうな気配だ。選手会長にして機動力野球の担い手。100%の上本が帰ってくれば、猛虎打線のムードは一気に変わる。【佐井陽介】



