阪神だって空中戦が出来るばい! 2回に福留の7号で先制し、昨秋日本シリーズからヤフオクドームで27イニングぶりに得点。2点リードの5回には鳥谷敬内野手(33)が右翼席中段まで運ぶ3号2ランで、5点目を挙げた。福留が9年ぶりなら鳥谷はプロ初のヤフオクドーム弾。1試合2発は5月22日DeNA戦以来で、その時もアーチは鳥谷と福留だ。アチチと燃えてきたぞ。
これだ。これが鳥谷が持つ本来のパワーなのだ。強力ソフトバンク打線のお株を奪うアーチ攻勢を演じてみせた。迫力の弾道がヤフオクドームに描かれる。2点リードの5回無死一塁。中田の2球目は内角直球だった。迷いはない。豪快に振り抜いた打球は右翼上空を高々と舞う。新設されたホームランテラス席には目もくれず、右翼スタンドへと吸い込まれていった。
「いい感触でとらえられました。インサイドの球をうまくさばけました。何とか走者を進めようと思っていた。まぐれですね」
目の覚めるような軌道だろう。今季もここまで巧打が目立ち、思い切り引っ張る打撃はあまり見られなかった。この日まで外野への安打方向は左翼23本、中堅16本、そして右翼には10本の少なさだった。俊足荒木が塁上に立ち、速球に狙いを絞り、パワフルに振り抜いた結果だ。5月22日DeNA戦以来の3号2ランで4点差に広げる。最後は1点差に迫られただけに、終わってみれば命拾いの一撃になった。
本塁打の破壊力がクローズアップされる。実は、鳥谷はチーム屈指のパワーの持ち主だ。掛布DCも「強い体を持っているし、パワーもカネ(金本知憲氏)に負けない体の力がある。なのに、本塁打の数は金本より全然少ない」と評し、アーチストとしての潜在能力を認める。この日は、ヤフオクドームでプロ12年目の初アーチ。球界随一の選球眼を持ち、好球必打で安打や四球を量産してきたが、さらにスケールアップすれば阪神打線の脅威は増す。
誰よりも練習し、揺るぎなき打撃技術を身につけてきた。実は、鳥谷は球界でもっとも「動かない」打者の1人だ。打席に立つと軸はまるでぶれない。投球間隔中、軸足を外す選手が多いが鳥谷は違う。よほどのけぞらされない限り、左足をまったく動かさず、次の球を待つ。「もう1回、自分で探る必要がない。その場所に決まっているし、そこにハマッています」。動きの芯が確立され、絶不調には陥らない。一流の振る舞いが、そこにあるのだ。
5月下旬には今季ワーストの打率2割2分6厘まで落ち込んだ打率も交流戦期間は3割3分3厘。復調モードのキャプテンが堂々たる姿を見せた。【酒井俊作】



