4番の一振りで逆転勝ちし、ソフトバンクが日本ハムとの首位攻防3連戦に3連勝した。7回、1点差に迫ってなおも1死満塁から内川聖一外野手(32)が右中間寄りに外野手を越える適時二塁打。走者を一掃し、一気に逆転した。貯金は今季最多の15。2位日本ハムには2・5ゲーム差をつけ、独走気配が漂ってきた。

 低めの難しい直球をとらえた内川の打球は、飛びつく中堅手のグラブの上を越えていった。1点差の7回1死満塁。すべての走者が生還するのを見届け、二塁ベース上で内川は何度も両手を突き上げた。ベンチの工藤監督もガッツポーズ。劣勢だったムードを一瞬で変えてみせた。

 「バンデン(ハーク)が7回を終了した時にここで降板するからと、ベンチ前で守っている野手みんなを迎えてくれた。何とか勝ちをつけてあげようと思った」。力投を続けた助っ人右腕への思いが、さらに打席で奮い立たせた。

 「ああいうところで打たないと、と思ってずっとやっていた」。前日20日は二塁打を3本放っても、11-1の大勝に笑顔はなかった。試合を決める一打こそ4番が求めているものだ。

 不動の4番と主将を任される。打率は3割を超えても、両リーグワーストの14併殺打を打つなど、納得いく内容とは程遠い日々だ。それでも工藤監督は「考えることはあると思うけど、これからどんどん乗っていってほしい」と変わらぬ信頼を寄せる。

 この日は父の日。父一寛さんに対し「何にもしてない。電話しようかな。いや、しないかな」と照れた。大分工時代、親子鷹として鍛えられた。生まれた時から高校野球の監督だったため、小さいころから家族だんらんとは程遠かった。「プロになって初めて親子になった気がする」。

 不振にあえいでいた5月中旬、心配になった一寛さんが急に1人で大分からヤフオクドームへ観戦に来たこともあった。この日は夏の大会前の大事な練習試合を行っていて、内川の活躍は後から連絡が入った。一寛さんは「ホッとしました。最近はスイングも良くなって、構えもリラックスしていますね」。普段は恥ずかしくて「ありがとう」は言いづらくても、この日のV打は父へ、しっかり届いた。【石橋隆雄】