日本ハム中田翔内野手(26)が、西武18回戦で2安打2打点をマークし、勝利に導いた。1点差に迫られた直後の3回、無死一、二塁から中前に適時打。5回は2死二塁から、リードを4点に広げる左前適時打を放った。7月5日楽天戦以来、26試合ぶりの複数打点。主砲の2打点以上は、今季18試合で15勝と勝率8割超だ。
意地がこもった、主砲の仕事だった。試合後の中田に、笑顔はなかった。足元を見つめ、淡々と己と向き合っていた。「今も状態は良くないから」。影を潜め続けてきた4番の姿。この日は必死に食らいつき、男を見せた仕事だった。
1点リードの3回。直前に大阪桐蔭の先輩で、本塁打王を独走する中村のソロで1点差に迫られていた。迎えた無死一、二塁。ど真ん中にきた直球146キロをたたき上げ、打球は左中間で弾んだ。本塁打には届かなかったが「今日は結果を気にせず、積極的に振りにいこうと思っていた」。目の色を変えて打席に立った。せきを切ったように、しぶとく白球を追い続けた。
気持ちが初球に反応した。5回には131キロのスライダーをはじき返し左前打。「状態が悪いからこそ1球目から積極的にいこうと思った」。チームが今季2度の対決で、苦手イメージを拭いきれずにいた西武の先発菊池から2打点。主砲が主役となって攻略に成功した。前夜11日は大谷が8回完投も敗戦。好投を続けた後輩を援護出来ず、フラストレーションはたまっていた。「みんなも毎日やってやろうという気持ちでいる」。チームの気持ちをくみ取り、代弁するかのような仕事で勝利に導いた。
長い失意の連続から、ようやく光が見えた。1試合2打点は7月5日楽天戦以来、26試合ぶり。7月の球宴明けから慢性的な疲労を抱え1人、別メニューの日々が続いていた。現状打破へ、肉体改造ばかりに意識が向いていた。世界的サッカー選手のC・ロナルド(Rマドリード)が広告塔を務め、10万円以上する腹筋強化器具の購入を考えたこともあった。「ちょっとでも、どんどん良くなるようにフォームを安定させないと」。焦りが募り、本来のスタイルを見失いかけていた。
本塁打のような派手さはないが、重みのある一打になった。栗山監督は「苦しい時は翔が決めるしかない。あとは本塁打だけだね」と期待を込めた。遠ざかっている本塁打を生み出してこそ、完全復調のきっかけになる。中田は「1試合1試合、必死に戦っていく」と前を見続ける。【田中彩友美】
▼日本ハム中田が2安打2打点で、7月5日楽天戦(コボスタ宮城)以来の複数打点をマークした。今季18度目で、チームは15勝3敗の勝率8割3分3厘を誇る。本塁打を除く適時安打2本は、4月26日オリックス戦(札幌ドーム)以来、今季2度目だった。



