阪神マウロ・ゴメス内野手(30)が屈辱と「V逸の呪い」を振り払った。天敵の巨人マイコラスを前に、打線は6回まで無安打と沈黙。そんな逆境をはね返したのが4番だ。3点追加を許し、ビハインドが8点に広がった7回の先頭打者。初球の失投を1度で仕留めた。それまでの鬱憤(うっぷん)を晴らすような鋭い打球が三遊間を破り左前に抜けていった。打者22人目での初安打で無安打試合の屈辱を免れた。

 「どの球種も良かった。結果を見たら分かる」

 試合後のゴメスは帰りのバスへと急ぎながら、短く感想を語った。打ち崩せなかった悔しさに、明るい表情はない。それでも、一矢報いた一打は不吉なデータの打破を意味する。

 80年の歴史で阪神が無安打に抑えられたのは10度。その屈辱を味わったシーズンは、1度もリーグ優勝できなかった。1安打でも10安打しても、同じ1敗に変わりない。2位巨人にはまだ2・5ゲーム差。勝負はこれからなだけに、一抹の不安を回避したのは安心材料だ。

 夏の大勝負を前に、前日17日には並々ならぬ闘志を燃やしていた。「明日も明後日もその次も勝つよ。東京ドームでウィン、ウィン、ウィンだよ!」。普段は冷静な男が、興奮気味に敵地3連勝を宣言。マイコラスに足をすくわれる形になったが、意地は見せた。唯一のHランプが、第2ラウンドへのパワーになるはずだ。

 「今日は負けてしまった。もう終わったことなので、切り替えてまた明日(19日)です」

 ゴメスの安打が得点につながることもなかった。絵に描いたような完敗は、屈辱の1歩手前だった。それでも前向きな姿勢にブレはない。【松本航】