中日若松駿太投手(20)が7回無失点の好投で8勝目を挙げた。負ければ1939年以来の対阪神9連敗という窮地を救った。初回のピンチを切り抜け、修正した2回からは別人のように凡打の山を築いた。8月の月間MVPに輝いた右腕が再び最下位チームに力を与えた。
若松が苦しすぎる初回を乗り切った。1死満塁の大ピンチでゴメスを抜けたチェンジアップで空振り三振。今成を二ゴロに打ち取った。この我慢が報われた。
「立ち上がりはヒヤヒヤさせてしまいましたが、自分で判断して修正できた。打たせてとる投球ができました」。2回以降は原点回帰した。代名詞のチェンジアップを軸にした投球に戻した。最近は敵のチェンジアップ狙いを逆手にとる配球が多かったが、杉山のサインにも首を振って本来の決め球に頼った。
2回以降は危なげなく2安打投球。久しぶりのピンチだった7回1死二塁も藤井と岩崎を簡単に打ち取った。0-0の7回に待望の2点をもらった。この攻撃中に代打を送られたが、若松の快投が呼び込んだ快勝劇だった。谷繁兼任監督も「彼らしさが出ていた」とほめた。
恩人が見守っていた。両親とともに、昨年2月に他界した元中日スカウトの渡辺麿史さん(享年57)の夫人らが初めてナゴヤドームで観戦。前日に連絡を受け「主人も連れて行くから」と言われていた。「特に今日は強い気持ちがあった」と若松。この日からグラブを新調し、従来通り渡辺さんの名を中に縫い込んだ。「名前はずっと入れていきます」。プロに導いてくれた恩人への感謝の気持ちを新たにした。
8月は4連勝で初の月間MVPを獲得。月間5勝目を狙った前回の巨人戦で6失点と打ち込まれたが、きっちり修正してきた。指揮官も「今年ローテに入って、2回連続で崩れたことがない。しっかり1週間で整理して、対策を考えながらやっている」と活躍できる理由に挙げる。
不名誉な阪神戦の連敗を8でストップ。8月2日の巨人戦完封もチームの8連敗を止める勝利。すっかり頼れる存在になった。谷繁兼任監督が「若い投手が出てこないとうちは勝っていけない」と来季以降も見据えるシーズン終盤。20歳のエース候補生が最下位中日に光をもたらしている。【柏原誠】



