ロケットスタートじゃ~! 広島は今日18日からマツダスタジアムでクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージを戦う。先発予定の薮田和樹投手(25)は無の境地でマウンドに上がる。夜にDeNAが乗り込んでくることが決まったが、まだ相手が未定の時間帯に行われた最後の練習も終え、準備は万全。シーズン15勝を挙げたエース格が、チームに勢いをつける。

 薮田は無の境地にいた。登板予定のCSファイナルステージ初戦を翌日に控えても「何も考えていないです」と3度も口にした。気合、テンション、色気…。邪念をすべて捨て、真っ白の状態でマウンドに上がるつもりだ。意気込む感情を見せたのは「いつも通り、やれることをやるだけ。目の前の試合を全力でとりにいきます」と汗をぬぐった場面だけだった。

 今季15勝をマークし、勝率8割3分3厘で最高勝率のタイトルも手にした。初戦という大役を任されたが「変に考えても仕方ない」と、ここでも感情は口にしなかった。投球スタイルも変えることなく「もともと1イニングずつ、と考えているので」と初回から飛ばし、行けるところまで行くスタイルを貫くつもりだ。150キロを超える直球とフォークに近いツーシーム、カットボールも加えて、役割を全うする。

 怖いモノなしの若さが武器だ。心強い先輩にバトンを渡す。第2戦は野村が濃厚で、第3戦にはジョンソンが控えるとみられる。無の境地にいるのは「2、3戦目には経験のある投手がいる」という理由もあるだろう。対戦相手が決まるこの日の甲子園でのファーストステージも「目につけば見ようかなと思います」。捕手会沢のミットを目がけて腕を振る以外、薮田の頭にはない。

 チームは総仕上げの全体練習を終えた。緒方監督は「やれることはやってきた」とうなずいた。さらに「初戦をとれればいいけどね。力も入るだろうけど、それも最初だけだと思うから」と期待を寄せる。最後は今季何度も口にしてきた「普段通りやるだけです」と語り、グラウンドを後にした。勝負の短期決戦。昨季の忘れ物をとりに行くためにも。負けられない戦いが始まる。【池本泰尚】