ソフトバンク千賀滉大投手(26)が、雨にも負けず7回1失点で自身5連勝を飾り、満員の熊本のファンに白星を届けた。

負ければ2位・日本ハムに0・5差に迫られる大事な一戦で、エースが貫禄の投球を見せた。防御率(1・26)、勝利数(5勝)、奪三振(80個)と3つの部門でパ・リーグトップに立った。

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3者連続三振で、試合の流れを呼び込んだ。4回終了時から雨による1時間の中断を経て、千賀はマウンドへ。「ここで試合の流れが変わるのが見えた。狙って全部三振を取るつもりでいった。グラウンド状況もあったので、前には飛ばさせないつもりだった」と、砂がまかれ、ぬかるんでいたグラウンドに打たせまいと三振を狙った。

先頭中島には1、2球と直球が高く抜けたが、5球すべて150キロ超の直球を続け、空振り三振。続く西川には4球すべてフォークで空振り三振。大田はフォーク2球で追い込むと最後は155キロの低め直球、で空振り三振を奪った。魂を込めた13球で3連続三振。工藤監督は「あの投球がみんなのリズムをよくして逆転につながった。みんなも何とかしようと感じたと思う」と、その裏に2点を奪った逆転劇への一番の勝因に挙げた。奪った2点がゴロでの内野安打、相手の失策と雨の影響を受けただけに、1球も打球をグラウンドに飛ばさなかった千賀の投球に価値があった。

受けた甲斐は「千賀の力。集中力はさすが」と舌を巻いた。中断の1時間、まずベンチで休養し、その後ブルペンでいつ始まるか分からない状況の中で準備。マウンドへ行く前に甲斐が「気持ちは分かるけれど頑張れ。(雨、中断と)うっとうしいかもしれないけれど、しっかり仕事をしよう」と声をかけたが、今年の千賀に心配は無用だった。

熊本・リブワーク藤崎台は13年5月12日にプロ初勝利を挙げた場所。6年ぶりにお立ち台に上がり「こっち(スタンド)の景色を見て足が震えていたのを思い出しました」と笑った。当時は救援だった。通算47勝目の白星は今季負けなしの5勝目。防御率、奪三振と3部門すべてでリーグトップに立った。チームは熊本で3連勝し、19日は現在8連勝中の鹿児島で試合を行う。球団移転30周年記念の「WE=KYUSHU」ユニホームを着た千賀が、日本を代表するエースに成長した姿で熊本のファンを喜ばせた。【石橋隆雄】