オリックス松葉貴大投手(28)が、母校大体大の大先輩で引退した前巨人上原氏への恩返しの勝利を逃した。5回4失点でロッテに逆転を許して降板し、今季初勝利はならなかった。

4回まで無失点で投げ抜いたが、5回に先頭の岡、藤岡に連打を許し、江村に犠打を決められて1死二、三塁。荻野の犠飛で1点差に迫られた。さらに鈴木への死球で2死一、二塁のピンチを背負い、清田に左中間スタンドへの逆転2号3ランを浴びた。痛恨の1球になった。

松葉にとって、プロ野球人生で二度と巡ってくることのない特別な登板だった。「いろんな意味で大事なマウンドになると思う」と臨んでいた。20日に上原氏が現役引退を発表。プロ入りから背中を追った大体大の大先輩の引退会見翌日に今季初勝利をかけたマウンドに上ることになった。

20日の練習後、上原氏の会見を見守った。涙にくれる姿に「驚きました」とあふれる感情に思いを巡らせた。この熱さ、感情こそが、上原氏を奮い立たせた原動力だと理解した。

15、16年と都内の自主トレに足を運び、松葉は大先輩とキャッチボール。「こんなキャッチボールは生まれて初めて」とそのすごみをグラブごしに感じ取った。その相手からかけられる「成長してるぞ」の言葉は何よりの励みだった。一方、上原氏にとっても松葉は気にかけてやまない後輩だった。「侍のユニホームを着た投手でしょ」と、14年日米野球の日本代表に選ばれた経験を持つ左腕の成長を願っていた。ただ引退会見翌日に19年初勝利を届けることはできなかった。【堀まどか】