セ・パ両リーグ戦が再開した28日、オリックス3年目の山本由伸投手(20)が西武10回戦(メットライフドーム)でプロ初完投初完封勝利を挙げた。同学年で甲子園V腕の西武今井達也投手(21)と投げ合い、甲子園経験なしの山本は強力打線から毎回&自己最多の11奪三振。パ・リーグ防御率1位の力をみせつけ、チームを5連勝に導いた。

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16年甲子園優勝投手の今井に投げ勝ち、12年春夏連覇捕手の森を見逃し三振に仕留め、山本がプロ初完封を達成した。チームを今季初の5連勝に導き、シーズン自己最多に並ぶ4勝。「仕事をやった感。達成感があります。楽しかった」。124球を投げ終え、若月と抱き合い、プロ3年目で初めて味わう感覚を楽しんだ。

ロメロは1軍におらず、吉田正も試合前の練習中に腰の張りを訴えて今季初めてスタメンを外れた。大砲2人を欠きながら、味方打線は初回から援護をくれた。「吉田さんの存在感は大きい。相手へのプレッシャーも違う。おられないのは寂しかった。でも、きょうは自分が抑えれば勝てると思って投げました」。初回は3者連続空振り三振の滑り出し。リーグ戦再開初戦を託された責任感で、1イニングずつ抑えていった。

155キロの快速球に、フォークは147キロをマーク。投げ合う今井が中盤にかけ、競り合うように状態を上げても、山本も1歩も譲らない。3回1死満塁で外崎に大きな飛球を打たれたが、右翼の小田が本塁に好返球。西武の三走・愛斗のホームインも、西村監督のリクエスト要求でアウトに覆った。味方野手も集中し、山本をもり立てた。

西武今井が作新学院(栃木)を全国制覇に導いた16年。都城・山本の高校最後の夏は宮崎大会3回戦で終わった。公式戦で5回参考ながら完全試合を達成しても、甲子園に縁はなかった。それでも「都城にすごい投手がいる」とうわさにのぼったスーパーエースは、プロ入り直後からうわさの真実を証明。大阪桐蔭で12年春夏甲子園連覇を経験し、超高校級レベルを知るチームメートの沢田が「山本は本当にすごい」と舌を巻いた。それから3年。侍ジャパンからも注目される右腕として、山本はリーグに君臨する。

今井や西武の強力打線との勝負を「楽しかったです」と振り返った。プロ初完封という経験を得て、山本が次元の違う投手へと成長していく。【堀まどか】