夏男が大爆発した。日本ハム中田翔内野手(30)が今季2度目の2打席連発。1回に左中間席へ18号先制2ラン、3回にも同じく左中間へ19号2ランをたたき込んだ。3安打4打点の大暴れで7月は打率3割9分3厘、3本塁打、10打点と絶好調。主砲がチームを前へと進ませる。   

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中田が甘い球を1球で仕留めた。「高く上がりすぎたかな」という不安も関係ない。1回、岩下の145キロ高めの直球をとらえた打球は、悠々と左中間スタンドへ。先制の18号2ランとなった。3回には2打席連続の19号2ラン。「2打席目の方が打った感触は良かったな。いいところで打てたと思う」。先制、中押しのアーチ連発で4連勝を呼び込んだ。

試合前から、栗山監督も前へ前への意識をかき立てられていた。ZOZOマリンへ到着すると、大量のトンボがグラウンドに群がっていた。指揮官は「トンボって勝ち虫。前にしか飛ばない、後ろに下がらないということで戦国武将も好んで使っていたよね」と敵地ながら吉兆ととらえた。ソフトバンクの独走に待ったをかけるには、とにかく勝ちまくって前に進むしかない。トンボが覚悟を、後押ししてくれていた。

5日からの前カードはショートスターターを活用し、ブルペンもフル回転して楽天に3連勝。栗山監督は「あれだけブルペンを使い切っている。いける人は限られていた」と振り返るほど投手陣は疲弊。どうしても打線でなんとかしたい日だった。それだけに主将中田の仕事には価値がある。指揮官は「先に点を取ってくれたことは大きかった。本当に大きな本塁打だった」と頼れる4番に目を細めた。

逆転Vへ、ここからが中田の見せ場になる。昨季も夏場に強かった。7月は月間打率3割9厘と調子を上げ、8月には打率3割2分、6本塁打、19打点を記録した。今季も7月は7試合で3本塁打、10打点と同じような兆しを見せている。「個人的なことはどうでもいい。チームが勝ってくれればそれでいい」。ZOZOマリンのトンボは、止まられた選手がクビになるという都市伝説を持つが、日本ハムにとっては勝ち虫。逆転Vへの吉兆にする。【山崎純一】