ロッテの苦労人、三家和真外野手のバットが昨季から続いた札幌ドームでの連敗を10で止めた。角中の欠場で急きょ回ってきた今季初スタメン。初回4点を先制し、なお2死一、三塁から内角スライダーを捉え高々と上がった打球が左翼席に吸い込まれた。「打った瞬間は分からなかった。ベンチから歓声が聞こえて、行くんじゃないかなと思いました」とプロ1号弾を振り返った。

11年育成ドラフトで広島に入団したが13年に戦力外になった。3年間の独立リーグ生活を経て、16年11月にロッテの入団テストに合格。NPB復帰を果たした。独立リーグ時代には派遣バイトに登録し、時給850円で働いた時期もあった。「こんなに働いてもこれだけしかもらえないんだ」と稼ぐ大変さを実感した。

次の日本ハム主催試合は東京ドーム開催のため、負ければ52年のフランチャイズ制導入後、球団史上初の相手本拠地未勝利でシーズンを終える危機だった。「ここまで(長く)1軍にいたことがなかったので、いい経験というか、こういうところでやらんといかんな、と常々思わされる」。この日は1軍昇格1カ月記念日。懸命にバットを振り続ける。【久永壮真】