楽天が誇る不動のリードオフマン、茂木栄五郎内野手(25)が再び難敵に土をつけた。日本ハム有原から3回に決勝の中前適時打。1回にも先制の足掛かりとなる右翼フェンス直撃の三塁打を放つなど、今季11勝を挙げている早大の先輩攻略に大きく貢献。チームに10連戦最初のカード勝ち越しをもたらした。

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茂木のバットがチームに勢いをもたらした。1回は先頭打者としてカウント3-1から内角直球を強振。右翼フェンス最上部にぶち当てた。三塁まで到達して日本ハム内野陣に前進守備を敷かせ、浅村の先制打を呼び込んだ。3回無死二塁では追い込まれてからフォークを軽打して中前へ。「最低でも1死三塁をつくろう、と。追い込まれたので、とにかくヒットゾーンにと思っていました」と振り返った。

有原からは5月の対戦でも決勝本塁打。この日のマルチ安打で今季11打数6安打、対戦打率5割4分5厘をマークしている。昨季までの通算が30打数5安打の1割6分7厘。明らかな変化の理由を理路整然と語る。「いい投手なのは変わりない。去年までは全部を打ちにいってしまっていた。今年は『このボールを打つ』『このコースを打つ』と割り切って、整理して打席に入れています」。シンプルだが、アプローチにひと手間を加えたことがはまっている。

開幕から96試合で先発を外れたのは1試合だけ。疲労を考慮し、今季2度目となる指名打者で起用された。「監督の意図は分かっている。配慮してもらっている分、今日は打席でチームに貢献したかった」と集中力をとぎすませ、銀次と並ぶチーム最多今季10度目の猛打賞を決めた。平石監督も「(茂木)栄五郎は、ずっといい姿でやってくれている。本当に大きい」と目を細める。真夏の過酷な10連戦も、茂木が力強く突破口を開く。【亀山泰宏】