リーグ連覇を狙う西武に、またもや「沖縄の希望」が現れた。4年目右腕の国場翼投手(25)が、ロッテ戦でプロ初勝利を挙げた。延長10回から5番手で登板し、1回を3者凡退に抑え、その裏のサヨナラ勝ちを呼び込んだ。最速158キロ右腕の平良に続き、首位ソフトバンクを0差で猛追するチームのブルペンにまた1人「うちなんちゅパワー」が加わった。

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守護神の増田が打たれ、まさかの延長となった10回。沖縄出身のスター安室奈美恵さんの「Hope」のリズムに乗って、国場がマウンドに上がった。

前夜にバックスクリーン弾を浴びた3番中村奨に対し「絶対に気持ちで負けないように」遊ゴロに仕留めると、続く清田も遊ゴロ。最後はこの日猛打賞の角中を高め直球で空振り三振。相手クリーンアップを14球で抑えてリズムをもたらすと、その裏にメヒアがサヨナラ打。待望のプロ初白星が転がり込んだ。本拠で初のお立ち台に立った右腕は「初勝利というよりチームが勝ったことがうれしい」と笑顔。「今日は沖縄から母と姉が見に来ていたので最高の結果が出てよかったです」と笑った。

飛躍のきっかけは「沖縄」だ。今年1月上旬、同じ、うるま市出身で「地元のスーパースター」と尊敬するソフトバンク東浜と自主トレを行った。知人をつてに連絡先を聞き出し、自ら電話して実現。山川から「遠慮せずにどんどん聞いてくればいい」と背中を押され、東浜の得意球カットボールの手ほどきを受けた。最速151キロの直球に加えて、130キロ台後半で小さく鋭く変化する武器を新たに入手。制球力が向上し、打たせて取る投球スタイルを確立。今年8月に初ホールドを挙げるなど少しずつ結果を積み上げた。この日も「直球が抜けてたので、ほとんどカットボールでした」と多投。狙い通りゴロを打たせた。

国場は「山川さんは沖縄愛が強いですし、次は一緒にお立ち台に立ちたいです」。年下の平良とは「仲もいいし、上下関係もない感じです」と連帯感を強調する。“恩人”の東浜からは試合後に「初勝利おめでとう。第1歩やね」とLINEが届いた。「あとでゆっくり返事します」と国場。ライバルの垣根を越えて助言をくれた先輩に感謝しつつ、さらなる飛躍を目指す。【鈴木正章】

▽西武辻監督(国場の好投に)「若い投手がしびれる場面で投げて、自信にしてくれれば。価値ある1勝だったと思います」

<国場翼のアラカルト>

◆生まれ 1993年(平5)12月5日、沖縄・うるま市生まれ。

◆球歴 3歳からボールを握り、小1から本格的に野球を始める。あげな中では二塁手。具志川高ではエースで県16強が最高。第一工大では1年時からリーグ戦に登板。

◆入団 15年ドラフト8位。当時から背番号「57」

◆サイズなど 181センチ、83キロ。足のサイズ27・5センチ。握力は左右とも50キロ。右投げ左打ち。血液型0。

◆急成長 中学時代は身長150センチ台で非力だったが、高校時代に20センチ以上成長。1年生大会で投げてから本格的に投手に。

◆好きな選手 松坂大輔

◆家族 母と姉3人。

◆趣味 寝ること。ゆっくりすること。

◆好きな食べ物 地元のステーキ。今も実家から送ってもらう。