3位広島が首位巨人とのレギュラーシーズン最終戦で、延長10回の死闘を制した。3番鈴木誠也外野手(25)が先制の27号ソロを含む2安打2打点でチームをけん引。打席の中で打撃フォームを変える柔軟性を見せた。2位DeNAも勝って0・5ゲーム差のままで、シーズンは残り6試合。主砲を中心に最後まで上位を狙っていく。

広島がシーソーゲームを制し、巨人戦の連敗を3で止めた。5-5の延長10回1死三塁。相手の捕逸から決勝点は生まれたが、粘りが勝利をたぐり寄せた。歓喜の輪の中心にいたのは、変幻自在の打撃を見せた主砲鈴木だった。

チーム無安打で迎えた4回。対戦成績8打数1安打だった2番手高木に「タイミングを取るのが難しかった」と形へのこだわりを捨てた。打席の中で巨人坂本勇のように左足を大きく上げて構えたかと思えば、いつものように上げるなど、タイミングを計った。フルカウントから浮いた真っすぐを捉えた5球目はノーステップ打法。2年連続大台まであと3本とする27号ソロで先制点を奪った。

鈴木は、2点ビハインドの6回も4番手大竹に対し「何となく合っていなかった」と再びノーステップ打法でチェンジアップを引き付け、右翼線へはじき返し適時二塁打で反撃ムードを高めた。打席で形にはこだわらず、結果のみを求める。普段の練習から日本だけでなく、米大リーグの打者の打撃フォームを取り入れ、打席の選択肢を増やしてきた。勝負どころで度胸と高い技術力を発揮した。

レギュラーシーズン最後の対戦。両軍とも、この先の短期決戦を見据えたような総力戦だった。緒方監督は「選手が本当に最後まで諦めずに執念を見せて頑張ってくれた。それしかない。それ以上ないよ」とたたえた。それでも鈴木は「(内容で)勝ったとは思っていない。(結果的に)競り勝てたのは良かった」と表情を引き締めたまま。移動試合のナイターからデーゲームで7連戦の5試合を終え、3勝2敗。15日から再び広島に戻り、移動試合のナイター、デーゲームと続く。上位争いに食らい付くためにも、最後まで歯を食いしばる。【前原淳】