阪神が伝統の一戦で痛恨の逆転負けを喫し、14年連続のV逸が決まった。

1点リードの8回、ジョンソンがゲレーロに逆転2ランを被弾。逆転でのCS進出もより厳しい状況に追い込まれた。矢野燿大監督(50)は就任1年目の優勝を目標に掲げたが、得点力不足は解消されず。投手陣は奮闘したが、守備のミス連発で勝利を逃す場面も目立った。V逸の要因を検証し、大砲助っ人の獲得など来季巻き返し策を検討していく。

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残酷な敗北で今季も優勝の可能性が消滅した。1点リードの8回だ。ジョンソンは2死一塁にこぎつけた。だがゲレーロへの4球目で暗転。外角高めの151キロをとらえられた逆転の20号2ランは左中間最深部へ突き刺さった。阪神には少ない本塁打の破壊力を、まざまざと見せつけられた。

昨年10月、最下位に沈んだ金本監督の後を受けて矢野監督が就任。1年目から本気だった。「優勝してファンを喜ばせたい」と言い続けた。だが、今季134試合目で14年連続のV逸が決まった。CS進出も厳しいが、指揮官は「今こそ、戦う姿勢とか気持ちが問われるような状況になってきている」とファイティングポーズを崩さず。残り9戦、逆転CSを狙って、死力を尽くすことを約束した。

優勝に必要なものを突きつけられた。優勝目前の巨人は3回、坂本勇が36号。岡本29発、丸27発と長打力を押し出す。対照的に阪神はリーグ5位の89本塁打。最多が大山の13発でマルテの12発が続く。リーグ最下位のチーム505得点が現実だ。矢野監督は「点を取って勝つのが一番」と理想を明かした。開幕から24歳の大山に期待して4番に固定したが、8月末からは先発を外れる日もあった。

得点力不足解消の目玉補強だったマルテも、打率こそ2割8分7厘だが、他球団の主砲に比べれば、アーチ数が物足りない。夏場に緊急補強したソラーテは造反退団でナバーロは2軍。助っ人野手が機能したと言い切れない。多くの得点が望めず、指揮官は何度も「1年間戦う上では、接戦を取っていくのが大事」と話した。だが、投手陣は奮闘を重ねたが、守備でモロさを露呈。チーム失策数98はリーグワーストで、敗戦に直結する試合も目立った。

3年契約2年目の来季も矢野監督の続投は既定路線だ。藤原オーナーも7月に「当然そういうことです」と認めた。9月上旬など幾度も編成会議を開いた。矢野監督も参加して現有戦力を検証。球団幹部は「打つ方を補強しないといけない」と危機感を募らせる。今後は大物助っ人など、野手補強も検討に入っていく。

打倒巨人に執念を燃やした伝説の助っ人、バッキー氏への弔い星もかなわなかった。V逸の厳しい現実を突きつけられ、編成トップの谷本球団副社長兼球団本部長は「一番ご声援いただいたファンの方に申し訳ない。悔しいですね」と謝罪した。必死にCSを目指しながら、来季の逆襲体制も整えていく。【酒井俊作】