阪神藤浪晋太郎投手(25)が、プロ初の1軍未勝利でシーズンを終える可能性が高まった。

ウエスタン・リーグ中日戦(ナゴヤ球場)で8月初旬の降格後、5度目の先発。右打者に抜ける死球を恐れてか、左8人を並べた打線に6回90球で8安打3失点、6奪三振だった。からくもCS争いに残る1軍は残り8試合しかない崖っぷちが続き、藤浪は次回も2軍戦での登板が濃厚。もがく日々が続く。

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降板後の藤浪は淡々としていた。「良くも悪くもという感じです」。至って冷静に振り返った。求める投球が道半ばなことは、背番号19が一番わかっていた。

平田2軍監督が「久しぶりに角度もあってスピードもあって良かった」と評したように、内容は安定していた。初回、大阪桐蔭の後輩、3番根尾への初球に、この日最速の154キロを記録。2回、4回に失策や不運な当たりの安打から適時打を許したが、3失点(自責2)にまとめた。単調になって乱れた前回8日の広島戦(安芸)の反省を生かし、試合中に左足の上げ方などフォームを修正。「うまくできたと思う」と手応えもつかんだ。要所で決まったフォークには「今日は1つ、有効に使えたのは良かった点」と振り返った。

ただ、手放しで喜べないのも現状だ。この日の中日打線は捕手の桂以外、1番から8人の左打者を並べた。本来二塁の溝脇が一塁で今季初先発するなど、右打者に抜けて死球になることが多い藤浪対策は徹底していた。5回には亀沢の右足に死球を当て、登板4試合連続の死球を記録。大きな抜け球はなかったが、引っかけて暴投となる場面もあった。2軍降格後、5戦目で初の無四球だったが、中日打線の早打ちも目立った。右打者とも、3打席しか対戦できなかった。

ウエスタン・リーグは残り9試合。藤浪の次戦について平田2軍監督は「あと1試合くらいになると思うけど、これを続けないといけないね」と次回の2軍戦登板を示唆した。懸命に逆転CSを目指す1軍は残り8試合。藤浪を登板させる余裕はないが、30日の今季最終戦に向けて日程にも余裕があり、先発陣の頭数は足りている。藤浪の今季1軍登板は、勝ち負けが付かなかった8月1日中日戦(甲子園)のみ。プロ7年目で初めて、1軍未勝利に終わる可能性が高まった。

日々、試行錯誤の背番号19は言った。「感覚的には良い感じであるところもあるし、まだまだなところもある」。もがきながら、来季につながる投球を模索する。【奥田隼人】