甲子園でミスターを超える! 阪神近本光司外野手(24)が58年長嶋茂雄のセ・リーグ新人安打記録の更新を誓った。記録まで残り3本に迫り、シーズンは残り8試合。新記録樹立は確実な情勢で、しかも18日のヤクルト戦から甲子園開催が5試合続く。本拠地での快挙達成が現実味を帯びる。

「ヒットの記録というのは甲子園で更新できるなら、したいなとは思います。記録を超えたいとか作りたいとかは自分では思っていないですけど、ファンの方に喜んでもらえることをしたいと思う」

近本は自身のことより虎党を思った。17年の中日京田(149安打)を抜いて、リーグ新人歴代2位となった16日の試合後。安打数についての質問をする報道陣に「今、何本ですか?」と逆質問するほど、個人記録は意に介さない。ただ、目の前の一戦に集中する中でファンに対する思いは決して忘れない。「自分の数字よりも、ファンの方に喜んでもらえるように」。バットで大記録を刻み、日々の感謝を伝えたい。

ルーキーながら開幕スタメンを勝ち取り、連続試合安打や安打数などの球団新人記録を塗り替えてきた。そしてついに、球史に名を刻むところまでやってきた。9月に入っても、月間打率3割1分で安打ペースに陰りはない。

16日巨人戦では2盗塁を決め、33盗塁。リーグトップのヤクルト山田哲に並んだ。1年目の目標に掲げる「盗塁王&新人王」へ、ヤクルト村上との争いも注目される。「意識しても、自分が村上くんに対してホームランとか打点で勝負はできないので。だから、自分ができることをやるだけだと思います」。チームは逆転CSへ、負けられない戦いが続く。その活力となる快挙達成の瞬間が、刻々と近づいている。【奥田隼人】