19年楽天の最大のサプライズかもしれない。昨季まで未勝利の楽天石橋良太投手が8勝目を挙げた。

100球を超えてから2発を浴びて8回途中5失点(自責4)も「腕を振って内角を攻められた」。腹をくくって、大胆に山賊打線の懐を突いた。

「このオフ、シュートを完全に自分のものにせなあかんぞ」。支配下に復帰して迎えた昨秋、それまで頼りがちだったカットボールと対になる球種に可能性を見いだしてくれた平石監督の助言が転機となった。2月のキャンプ途中に1軍へ合流し、嶋相手にブルペンでデモンストレーション。指揮官は「あの時シュートを投げ切れていなかったら、恐らく2軍に戻していた」と振り返る。中継ぎで迎えた開幕戦では、ロッテ・レアードにシュートが甘く入って逆転被弾。「ビビったら、使わんぞ」。期待ゆえのげきで奮い立った。

高知・明徳義塾高では二塁手。下級生の時は、泥だらけになった内野手の先輩の練習着を日付が変わるまで洗った。「今となってはいい経験。でも、当時は限界でした」と笑う。6回には森の意表を突くセーフティーバントを難なく処理し「(守備)練習していて良かった」。則本昂と岸が不在の5月から先発になり、ここまでチーム2位の127回1/3イニングを稼ぐ。「大したもの」。平石監督も目を細めた。【亀山泰宏】