大一番で楽天平石洋介監督の思いが報われた。「選手たちがよくやってくれた」。楽天では初めて就任1年目での勝率5割超えも達成した。

2年ぶりのクライマックスシリーズをたぐり寄せたのは、対話を重視する指揮官がひときわ時間をかけて接してきた選手たちだ。6回に千賀のフォークを捉えて起死回生の逆転2ランを放ったウィーラー。不振で8月に登録抹消する時に声をかけた。「絶対に腐るなよ。シーズンが終わるわけじゃない」「自分も諦めるのは嫌いだ」。勝負どころで最高の恩返しを決めた。

7回は、2軍監督時代から厳しく指導してきたオコエ。1死一、二塁でモイネロに代わると、二塁走者のオコエからベンチに伝えてきた。「チャンスがあったら、いっていいですか」。打席には主砲浅村。オコエは「(カウントを悪くしないよう)1球だけもらいました。(タイミングは)モイネロをこの2、3年見てきたので」。初球に完璧なスタートで三塁を陥れ、敵失を誘って一気に生還した。「4回は1死からバントで送って自分に任せてくれたのに、平石さんの気持ちに応えられなかった。何とかしたかった」と言った。

最後は松井。平石監督たっての希望で抑えを任せた左腕が、初セーブ王確定の38セーブ目。「今年は絶対に(タイトルを)取らないといけないと思っていた」。ウィーラーは「CSで胴上げできたら、後ろからボスの頭をはたくのが僕の役目だね」と笑う。平石監督を男にする。【亀山泰宏】

▽楽天石井GM シーズンが始まる時点で、CS進出は最低限だと思っていたので良かった。打線は浅村とブラッシュが加わって得点力が上がり、投手は岸、則本が抜けた穴をみんなで埋めることができた。まだシーズンは終わっていませんし、日本一になれる可能性もあるので、そこを目指してやってほしい。