広島がクライマックスシリーズ(CS)に出場した場合、打撃好調の長野久義外野手(34)が4番で出場する可能性が高いことが、24日までにわかった。もう1人の4番候補、左打者の松山竜平外野手(34)とともに、相手の左右、相性などに対応しながら、ポイントゲッターとして打線を引っ張る。4連覇を逃したチームを、長野が日本一に引き上げる。

広島のCS出場の可能性が高まり、高ヘッドコーチは打撃好調の長野の起用法について言及した。CSに出場した場合の4番起用について「(左の)松山との兼ね合い」と説明。相手の投手の左右、相性などに対応しながら、松山とともに4番として計算していることを明かした。

長野はここにきて存在感を発揮している。9月は主に4、5番で起用され、月間打率3割3分3厘、3本塁打、12打点を記録している。本来の鋭いスイングを取り戻し、勝負強さも健在。CS出場に大きな影響がある23日中日戦でも、3安打2打点をマーク。粘り強く押し出し四球を選ぶなど、球団新となる12度目のサヨナラ勝ちを引き寄せた。

今季は我慢のときが続いた。初先発した4月2日中日戦で移籍1号を放ったが、その後は打撃の調子が上がらなかった。ベンチを温める試合が増え、7月3日に出場選手登録抹消。1カ月半にわたって2軍生活を送った。それでもくさらず、若手に交じって汗を流しながら、いつ呼び戻されてもいいように調整を進めた。チームが苦しくなった8月23日、再昇格した。

短期決戦のCSを勝ち抜くには、巨人時代にCSを36試合戦っている長野の経験は、大きな武器だ。チームは抑えのフランスアをはじめ救援陣に不安を抱えており、早い段階で1点でも多く取っておきたい。主砲鈴木、復調してきた松山とともに、ポイントゲッターとしての働きが期待される。

長野は「(出場できれば)何とかCSでがんばります。まだ、日本一のチャンスがあるんで」と意欲十分。古巣巨人も待つCS、その先にある35年ぶりの日本一に向け、フル回転する覚悟を固めている。【村野森】