まだ夢の途中-。今季限りで阪神を退団する鳥谷敬内野手(38)が20日、シーズン終了後初めて公の場に姿を現し、夢を持つ大切さを語った。

東京・三鷹市内で「みたか夢フェスタ2019」に参加し、夢を題材にしたトークショーでは退団を「ピンチじゃなく、チャンス」などと主張。球団から引退勧告を受けて現役続行を決断した鳥谷なりの「決意表明」の様相を呈した。

   ◇   ◇   ◇

去就が注目される鳥谷がシーズン終了後、初めて公の場に姿を見せた。「終わらない夢を」と題したトークショー。立ち見を含めて約150人が詰めかける中、自身の状況をダブらせるかのように1時間半にわたって熱いトークを展開した。

「夢をかなえた後もすごく大事。夢がかなった時にはまたその先にもたくさんの困難とかいろんなことがある。常に夢や目標をもってやっていくことが重要だと思う」

巨人とのクライマックスシリーズ・ファイナルステージを終えて1週間。16年間のタテジマ生活に別れを告げてもなお、人気は絶大だった。商店街を練り歩き、子どもたちと職業体験を行い、被写体として写真店の撮影にも参加した。居合わせた妙齢の女性は「モデルみたい…」と目がハートだ。野球のユニホームを着た男の子からは「僕の夢は鳥谷選手になることです!」と宣言された。

トークショーでは決意表明のような言葉もあった。挑戦することの重要性を説いた時だ。「小学校の頃にコーチから言われた言葉がある」と切り出した。

「ピンチと思うなら、チャンスと思え。その言葉をずっと今でも大切にしてきた。今回阪神を辞めることもピンチじゃなく、チャンスだと思っています」

質疑応答では子どもたちからの質問が殺到した。女の子から「好きな動物は何ですか?」と聞かれ「ここは虎って言った方がいいのかもしれないけど…ゾウ!」と返して場内を沸かせた。「自分のできることは野球なので」と話した鳥谷。阪神で2085安打を積み重ねた実力者が、新たな夢に向かって歩み始める。