キャンプ最終日曜日に、阪神梅野隆太郎捕手が鬼肩でファンを喜ばせた。

野手不足のため、捕手ではなく「左翼」で紅白戦に先発出場。本職顔負けの完璧なバックホームを披露した。「本職ではないですけど、刺したことでファンが沸いてくれたのはよかったです」。虎のエンターテイナーはにこやかに振り返った。

初回の2死二塁。陽川の左前打を軽やかなステップでさばくと、自慢の強肩を発動。ワンバウンドのストライク返球で俊足熊谷を悠々と刺した。強肩を期待していたファンは、打球が飛んだ瞬間に息をのみ、アウトと同時に大拍手を送った。「守っている以上、準備はできていたので、アウトにできてよかった」。力任せに投げず、走者の位置を見ながら冷静に制球するあたり、さすがの野球センスだ。

捕手として今季初のゴールデングラブ賞。ストッピング技術と並び、リーグ2位の盗塁阻止率3割7分をマークした「梅ちゃんバズーカ」はもはや代名詞。その外野からのロングスローは捕手の二塁送球よりも迫力満点。12日のシート打撃でも左翼に入り、ノーバウンド返球でタッチアップの三塁走者を仕留めていた。

もちろん、外野を守ったのは紅白戦だけの特例。絶対的な扇の要だけに、矢野監督は「外野・梅野」の可能性を笑って否定したが、広い外野の甲子園でもぜひ再現してほしい? グラウンドのどこにいても、存在感を発揮する選手会長が頼もしい。【柏原誠】