これがトリプルスリー3度の底力だ! 侍ジャパンの山田哲人内野手(27)が、2点を追う2回に逆転3ランを放ち試合の主導権を奪い返した。

韓国の先発左腕・梁■種の内角直球を豪快に左翼席へ運んだ。日本が誇る強打者が、大一番のリードオフマンに起用した稲葉監督に最高の結果で応えた。

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観衆の総立ちが、確信させた。2点を追う2回2死一、二塁。山田哲は直感を信じた。「真っすぐ、だろうな」。8球目。内角低めにきた狙い通りの直球を振り抜き見上げた。「やってやった、という気持ちです」。左翼席に吸い込まれる逆転3ラン。強く握ったガッツポーズは「心の声が、体で表現されました」。喜びが無意識にあふれ出た。

突き動かすものがあった。「個人的な感情ですけど…」。4年前のプレミア12準決勝、韓国戦。「3番二塁」で3四死球2三振、2打数無安打に終わり、チームも敗れた。「悔しい思いをしていた。やり返そうと思って打席に立ちました」。シーズン4度の30本塁打を達成した男が、大一番で燃えていた。「今回、晴らせて良かった」。首から提げた金メダルに負けない笑顔で言った。

覚悟をグラブにも宿らせた。今季終了後、ファーストミットに日の丸の刺しゅうを施した。本職は二塁手ながら「準備は万全です。どこを任されても、仕事を達成できるようにしておきたい」と今大会を見越したかのように用意。「日本代表として恥じないプレーをしたい」と自らを奮い立たせ、大舞台での結果につなげた。

不振のリードオフマンが、大仕事をやってのけた。試合前の時点で、打率1割7分6厘。全7試合に出場も17打数3安打にとどまっていた。転機は前夜、16日の韓国戦。11打席ぶり安打を含む3打数2安打2打点で、復調の兆しをつかんだ。「タイミングが合ってきて、いけるかな? と。メンタル的な部分もあった」と自信を深めて臨んだ。

悲願の10年ぶり世界一に貢献し、新たな目標に向かって歩き出した。「オリンピックで活躍したいというのは、めちゃくちゃあります。それには、まず選ばれるような活躍をチームでしたい」。悔しさを糧に歩んできた4年間。東京オリンピック(五輪)で、再び日の丸を背負い躍動する。【田中彩友美】

※■は王ヘンに玄