鉄壁の守備力を武器に、球団史上最年長で大台を突破した。巨人亀井善行外野手(37)が27日、東京・大手町の球団事務所で契約更改交渉に臨み、4000万円増の1億1000万円でサインした。

球団からは守備面を高く評価。守備指標で信頼性の高いとされるUZR(アルティメット・ゾーン・レーティング)では右翼手部門で12球団で3位の8・3(出典:デルタ1・02)をマークし、データでも能力の高さを示した。

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晴れやかな表情で亀井が会見場に現れた。大台に到達したかと聞かれ「はい」と明言。4000万円増の1億1000万円で球団史上最年長、球界でも5番目の38歳シーズンで1億円を超えた。「小学校の夢でしたから。時間がかかりましたけど、そこに乗せられたのはうれしく思います。現役が続くので、さらに上を目指して頑張ろうという気持ち」と前を見つめた。

球団幹部から掛けられた言葉が、亀井の特筆すべき評価を示した。「特に守備の方で評価していただいた。実際、守備でプロに入ってきた選手ですから、そこを評価してもらったことは一番うれしいです」。今季は右翼を中心に131試合に出場。09年以来2度目のゴールデングラブ賞は逃したが、数字が守備力の高さを雄弁に物語った。

今季、12球団で右翼手の失点抑止への影響を反映させた守備の指標とされるUZRで8・3の3位(出典:デルタ1・02)にランクインした。1000イニング換算にすれば11・5で2位。15年目の37歳は「守備はまだまだ若い人には負けないです」と運動量の求められる外野の守備指標で球界トップクラスの数値をマークした。

プロ入り当時からあふれる野球センスに、15年の年月を経て、体の強さと経験が加わった。自主トレでは走り込みを重視し「若い時よりは動けているなというのはあります」と実感。「(若い時は)何も考えないでやっていた感覚でしたけど、今はその先まで考えるようになった」と打者の特徴、状況などを冷静に見極めた上で守備位置や最善のプレーを判断する。

心の強さも成績向上に直結した。入団時から期待を寄せられながら、度重なるケガと不調を経験した。「ジャイアンツでレギュラーをとるのは本当に大変だなと。ケガさえなければと思うけれど、これも僕の人生。苦労を経験してきたので、それを生かせています」とかみしめた。“カメ”のようにじっくり下地を作って、大きな花を開かせた。【久保賢吾】(金額は推定)