阪神梅野隆太郎捕手(28)が8日、甲子園歴史館のトークショーで来年の東京オリンピック(五輪)出場を熱望した。一塁ブルペンが白熱した。約200人の虎党への50分の熱弁。終了間際、女性ファンに東京五輪への思いを聞かれると、本心を吐露した。

「はっきり言って、出たいのは出たい。来年は早く開幕したり、いろんな調整で個人的に難しい。選ばれたらどうなるだろうと思いながら、チャンスがある限り、出たい気持ちがある」

今季は129試合出場で打率2割6分6厘、9本塁打、盗塁阻止率3割7分。2年連続ゴールデングラブ賞に輝き、日本を代表する捕手の1人だ。この日も「捕手として優勝だけを見て来年やっていきたい」と話し、「オリンピックのためを思ってというのは、ちょっと違う」と語る。チームの最優先の姿勢だが、1人のプレーヤーとして東京五輪の晴れ舞台を待ち望む。

今秋のプレミア12は巨人小林、広島会沢、ソフトバンク甲斐が捕手で選出。梅野も最終選考に残り、実力的に遜色はない。阪神勢の選出はゼロ。「寂しい思いもある。裏を返せば、しっかりまた来年、調整していかないと」。コンディション不良でプレミア12を辞退したパ・リーグMVPの西武森もライバルに加わる。福岡大では、日米大学野球で日の丸を背負ったが「日本国民が見る、注目する的。学生野球と全く違う。それぐらいのプレッシャーを感じながらやらないといけない」と重みを覚悟する。

チームの開幕ダッシュを導く序盤の活躍がアピールになる。今季の得点圏打率3割3分はチーム1位。「そこにこだわっていきたい」と意気込む。「盗塁阻止率も4割以上を残したい。肩だけはしっかり作ってキャンプインしたい」。勝負強い打撃、梅ちゃんバズーカ…。春先の奮闘が五輪への道を開く。【酒井俊作】

◆阪神選手と五輪 04年アテネ、08年北京の2大会に計5選手を派遣した。アテネは安藤優也と藤本敦士が参加。日本は準決勝でオーストラリアと対戦。0-1の7回2死一、三塁、藤本が同僚のジェフ・ウィリアムスの前に凡退するなど敗れた。3位決定戦は勝って銅メダル。北京では、元阪神の星野仙一監督、田淵幸一コーチがチームを指揮。藤川球児、矢野輝弘、新井貴浩を派遣。期間中に主軸の新井が腰を疲労骨折し、のちに阪神V逸の遠因となった。日本は4位。

◆狭き門? 今秋のプレミア12で28人だった選手登録枠は、東京五輪で24人となる。捕手は最多で3枠とみられ、故障者が出た場合のリスクを覚悟の上で他のポジションを優先すれば、2枠の可能性もありそうだ。