屈辱の経験を生かすことができるだろうか。広島床田寛樹投手(24)が昨年、1試合で5本塁打された。プロ入り3年目、新戦力として7勝(6敗)を挙げた中、プロの世界の怖さを知らされた。「世界行ってみたらホントはこんなトコだ(床田?)った」。

打ちのめされたのは、6月14日の楽天戦だ。茂木の先頭打者本塁打が始まりだった。ブラッシュ、ウィーラーが続いて1回に3本。2回には太田、浅村にも打たれた計5本。「5本といえば龍角散?」だが、ノドよりも、心の痛みが大きかったかもしれない。

大先輩の黒田博樹も同じ屈辱を浴びた。99年7月31日の巨人戦で、高橋由2、清水、二岡、マルティネスに5本。さすがのエースもこのときばかりは「お先真っ暗(黒?)だ」。床田には救いになるのかもしれない。実は一流投手に被本塁打5本の経験者が多い。

吉見(中日)は10年8月26日の巨人戦で、千賀(ソフトバンク)も18年7月31日の西武戦で5本塁打を浴びた。翌年、吉見は勝利、勝率、防御率の3冠に、千賀も昨年、最多奪三振に輝いた。床田が「5本の指に入る」投手に成長するか、それはたぶん、今年の投球にかかる。【米谷輝昭】