中日ドラフト3位の岡野祐一郎投手(25=東芝)が27日、「3・11登板」への思いを明かした。

宮城・石巻市出身の岡野にとって東日本大震災が発生した9年前の3月11日は特別な日。即戦力が期待される右腕は当面の目標を3月11日に予定されるオリックスとのオープン戦(京セラドーム大阪)登板に設定した。

さまざまな思いがある。当時、福島・聖光学院の1年生として寮生活を送っていた岡野にも未曽有(みぞう)の天災は容赦なく襲いかかった。宮城で暮らす両親と安否確認できたのは深夜になってから。石巻市の被害も甚大(じんだい)だった。

「なんとか連絡は取れましたが、自宅はほぼ全壊ということでした。もちろん自分がいた福島では原発事故もあり、合宿所も閉鎖。しばらく親戚の家に避難する生活が続きました」と振り返る。岡野にとって生涯忘れることができない1日だ。

だからこそ今は「3・11」にこだわる。開幕1軍入りが目標だが、この時期に登板することは1軍キャンプを乗り切った上での最終テストも意味する。「いろんな思いのある日ですから」と特別な日での登板は何としても実現したい目標だ。

ナゴヤ球場での新人合同自主トレ。この日は予定通りブルペン入りしなかったが、前日は捕手を座らせて41球。「ここまで順調にきています」と岡野。京セラドーム大阪では社会人時代の日本選手権で完封したこともある。岡野にとっては特別な「3・11登板」に向けて最善を尽くす。

◆岡野祐一郎(おかの・ゆういちろう)1994年4月16日生まれ、宮城県出身。聖光学院で3年春夏の甲子園に出場。大谷、藤浪らとともにU18高校日本代表に選出された。青学大では2年春からエース。東芝では1年目から主戦格。17年都市対抗で優秀選手賞を受賞。180センチ、85キロ。右投げ右打ち。