ヤクルトファンの前で、偉大なキャプテンが球団史に名前を刻んだ。青木宣親外野手(38)が、巨人戦の1回に球団通算8000本塁打のメモリアル弾を放った。「ヤクルトの長い歴史に名を刻めることができて本当にうれしい」。チームは今季初の3連勝で首位巨人との差を0・5とした。

ファンの拍手は、打席にも届いた。10日の巨人戦が雨天中止となり、初の有観客試合。1回2死、カウント2-2からの6球目、巨人先発サンチェスの154キロ直球を捉え、燕党が多く座る左翼スタンド最前列へ先制3号ソロ。黒の打撃グローブをした右手と、素手の左手。感覚の微妙なズレを調整するスタイルで、憧れていたイチロー氏がオリックス時代に活躍した神戸の地で決めた。「お客さんの前でプレーできることを本当に幸せに感じた。ファンの方に感謝ですね」。

土屋五郎が球団初本塁打を放った1950年(昭25)3月24日から、2万5678日。令和を戦うキャプテンが歴史を紡いだ。高津監督は「8000号にふさわしい男。元気で、キャプテンらしくチームを引っ張ってくれる」と笑顔でたたえた。

首位巨人と0・5差に迫った。昨季はセ・リーグワーストタイの16連敗を喫し、2年ぶりの最下位。あの悔しさは忘れられない。青木は「勝つことで、信じられるようになる」と勝利を追い求めてきた。今季初の3連勝で「いい流れでプレーできている。まだやらないといけないことはあるけど(選手は)うまくなろうとしている」と手応えアリ。リーダーとして、主軸として、燕の原動力になる。【保坂恭子】