大黒柱が鮮やかに帰ってきた!広島大瀬良大地投手(29)が8日、コンディション不良からの復帰戦となった本拠地阪神戦で7回1失点と粘投。チーム最多の4勝目を手にした。右腕の粘りに引っ張られる形で、打線も7回に代打坂倉将吾捕手(22)が決勝打。今季初の1点差勝利で今季初の2カード連続勝ち越しを決め、4位阪神にゲーム差なしとした。

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珍しくほえた。グラブをたたいた。右拳を突き上げた。常に泰然自若を貫く大瀬良でさえ、湧き出る感情を抑えきれなかった。

「力、入りました。その割には球速出なかったけど…。チームに迷惑をかけて、ファンの皆さんにも心配をかけた。元気な姿を見せたかった」

同点で迎えた7回表1死満塁。119球目。代打福留を外角シュートで二ゴロ併殺打に仕留めた瞬間、勝利への道は一気に開けた。

痛い、かゆいをめったに吐かない男が7月25日、コンディション不良で出場選手登録を抹消された。中14日での復帰戦。「思うモノをたくさん背負って」マウンドに上がった。

阪神西勇との息詰まる大黒柱対決。丁寧に低め、コースを突いた。「ピンチの時の温かい拍手、力になりました」。最後は4977人から何度となく発生した拍手の渦にも助けられ、7回5安打1失点でチーム最多の4勝目を手にした。

実は少しだけ、大好きなお酒を断ったという。試合後は「禁酒したかいがありました!」と照れ笑いだ。前回7月24日DeNA戦後、アルコールを口にしなかった。小さな願掛けも実り、「出し切った~」と笑みがはじけた。

一夜明ければ、8月9日がやって来る。75年前、故郷長崎に原爆が投下された日だ。小学生低学年の時は臨時登校して「平和学習」を受けた。長崎市内の原爆資料館も2度訪れた。「忘れないようにしてほしい」。今年も黙とうをささげ、マウンドに立てる感謝を胸にまた、次回登板に向かう。

チームは今季初めて1点差勝利をもぎ取り、今季初の2カード連続勝ち越しを決めた。佐々岡監督も「エースで勝てたのが大きい」と納得顔だ。いよいよ4位阪神にゲーム差なしまで迫った。3連戦最終戦。一気に抜き去りたい。【佐井陽介】