日本ハム中田翔内野手(31)が決勝アーチで、タイトル争いを激化させた。22日西武戦(メットライフドーム)の1回2死二塁、決勝の左越え26号2ランを放った。この日3本塁打7打点で打撃2部門のトップに躍り出た大阪桐蔭の後輩・楽天浅村に本塁打は1本差に迫り、84打点で並んだ。チームは序盤のリードを守り切り、ビジター6連戦の初戦を白星でスタートした。

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先輩の意地が、アーチになって表れた。1回2死二塁。中田が打った瞬間、本塁打と確信させる弾道を描いた。「来た球を、しっかり自分のスイングをしよう」。カウント1-2と追い込まれながらも、甘く入った141キロのカットボールをフルスイング。「しっかり積極的に打ちにいけた」と、手応え十分の左越え26号2ランとなった。脳裏には、後輩の大活躍が焼きついていた。

この日のデーゲームで、大阪桐蔭の後輩の楽天浅村が3発7打点。中田は本塁打、打点で2冠を走っていたが、キングの座を譲る形になった。「すごいね。アイツは本当に、すごいバッター」。たたえながらも、ナイトゲームで1本差に迫り、84打点で並んだ。「自分も負けずにやっていくだけ。西武山川も絶対に最後(調子を)上げてくるはず」と刺激を受けながら、タイトル争いを盛り上げていく。

指揮官の配慮に、最高の形で応えた。前週の6連戦ラストの20日はスタメンを外れ、積極的休養が取られた。21日は札幌から東京への移動日で、世の中の動き同様に“連休”をもらった。「選手に気を使ってDHに入ったり、休みをくれたりという形でやってくれている。しっかりリラックスして試合に入れた」と、心身リフレッシュした姿で奮起した。

栗山監督は「体が疲れながら本当によくやってくれていたので、何とか疲労を取ってあげたいと思ったんだよ。こういうところで1発いきなり打ってくれると、こちらもうれしい」と目尻を細めた。ビジター6連戦の初戦を白星スタート。中田は「しっかり集中して1打席1打席、無駄のないゲームをやっていきたい」と息巻いた。逆襲の秋、主砲が象徴になる。【田中彩友美】