東日本国際大(福島)が3-2で昨秋覇者の東北公益文科大(山形)に雪辱し、昨春以来32度目(秋は17度)の優勝を決めた。

エース左腕・佐々木大輔(4年=山村学園)が最後の打者を三振に仕留めると、斎田海斗中堅手(4年=仙台育英)は涙でその場に崩れ落ちた。「去年の悔しさを思い出したら込み上げてきて…」。主将だった昨秋は最終節の直接対決で2連敗。前日、勝てば優勝の初戦を落とし悪夢がよみがえった。「トラウマのように悔しさを思い出させてもらった」。試合前には仲間に「俺たちは王者じゃない。挑戦者だ」と声をかけた。佐々木とともにプロ注目の大黒柱は3回、チェンジアップに無心で食らいつき、先制打で勢いを与えた。

17年秋から4季連続優勝し慢心が生じていた。仁藤雅之監督(40)は「普通に練習すれば勝てると勘違いしていた。負けて気付かせてもらった」。地道に基本練習を重ね、大一番でも動じない平常心が養われた。1-2の6回からプロ注目右腕・赤上優人(4年=角館)が登板も焦らなかった。同点、勝ち越し打の品田悠輔左翼手(3年=札幌日大)は「練習からコンパクトに振ってきたので自信はありました」。先発の竹田葵(2年=山形城北)は8回2失点と踏ん張った。昨秋、高校の先輩・赤上に代打で3球三振を喫し最後の打者となった高橋夏南人主将(3年=角館)は、7回に右前打で成長を証明した。

明治神宮大会出場を懸けた東北地区代表決定戦(10月24、25日、青森)を1カ月後に控える。2年前、東北福祉大との決勝で完投し初出場に導いた佐々木は「今年は仁藤監督を男泣きさせたい」と新たな目標に切り替えた。【野上伸悟】