巨人田中貴也捕手(28)がトレードで楽天に移籍することが29日、分かった。交換要員はなく、金銭トレードとみられる。

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「シャー!!」「オリャー!!」。ジャイアンツ球場の日中。イースタン・リーグの試合前のグラウンドから響く大声の主を探すと、かなりの高確率で田中貴だった。

試合で打てず、守備でミスをして落ち込むこともある。ただ「今日はやってやるから!」とへこたれない。全力スイング、全力ダッシュ、全力守備。声量も常にマックスをキープし「すごい声だね」と視線を奪われるファンも少なくなかった。

18年3月のオープン戦。侍ジャパンに合流中の小林に代わり、菅野とバッテリーを組んだ。試合後、エースに「とても研究熱心。4回まで首を振らなかったのはプロに入って初めて。面白い捕手だなと思った」と言わせた。真っ黒に日焼けし、やんちゃそうな風貌とは裏腹に、人思いで優しい性格。沈み込む打撃フォームにちなみ、ファンから付けられた「潜水艦打法」のごとく、新天地ではい上がる。【桑原幹久】

◆田中貴也(たなか・たかや)1992年(平4)8月27日、京都府南丹市生まれ。八重山商工から山梨学院大に進み、14年育成ドラフト3位で巨人に入団。17年に支配下登録された。今季1軍出場はなく、イースタン・リーグ40試合に出場し、打率2割3分4厘、4本塁打、12打点。通算では1軍2試合の出場で、安打はない。178センチ、85キロ。右投げ左打ち。今季推定年俸600万円。