「番長チルドレン」の誕生だ。DeNAのドラフト2位ルーキー牧秀悟内野手(22=中大)が7日、プロ初実戦となる紅白戦で初打席初アーチを放った。実戦では12球団のルーキー初本塁打。2回、左腕坂本の135キロ直球を捉えると、左翼ポール際へ推定飛距離120メートル弾とした。新任の三浦大輔監督(47)にとっても初実戦。走塁でも積極性を見せた大学ジャパンの4番打者が、二塁のレギュラー争いに名乗りを上げた。

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甘く入った直球に、牧の体が反応した。2回無死、1ボール2ストライクからの4球目。「初打席で打てたのは自信になる。インコースの球をいい感じに、自分らしく本塁打を打てた。三振でもいいかなと力強いスイングを忘れずに」。178センチながら97キロ(公称93キロ)ある太い体幹を回転させた。69センチと競輪選手のような太ももで地面を捉え、左翼のポール際へ運んだ。推定飛距離120メートルの特大弾。三浦監督らとエア肘タッチし「そうそうたる人が出迎えてくれてうれしかった」と初々しかった。

牧が三浦監督の評価をさらに高めたのは、4回の走塁だった。四球で出塁した無死一塁。50メートル走は「6秒4か5」だが、右邪飛で果敢に二塁へタッチアップした。前日から積極ミスOKを打ち出していた番長監督は「打撃もそうだけど隙をつく走塁を積極的にやっていた。打つだけじゃないというのが収穫」。1死一、二塁から関根の右前打では、迷うことなく三塁を蹴り、本塁に滑りこんだ。

背番号2のオープンスタンスで、ちょっと太め体形から長打をかっ飛ばす内野手。昨季限りで退団したロペスにそっくりだ。自分では「意識していない」というが、キャンプの中継プレーでは宮崎からロペスの愛称「チャモ」と呼ばれたこともあった。ロペスの退団で二塁から一塁に回るソトに、来日のメドが立たない。牧は大学時代から主に二塁を守ってきたが、打撃を生かすため一塁に回る可能性もある。

衝撃的な1発に、他球団の007も驚いた。巨人中里スコアラーは「横浜スタジアムなのでそれなりの本数を稼げる。村田修一ぐらいになれる能力がある」。中日前田スコアラーは「全部雰囲気がある。守備でも落ち着いていて(阪神)大山みたいになっていったら怖い」。牧は「1年目ですが目指したい」と、開幕1軍からの定位置奪取を誓った。【斎藤直樹】

▽阪神太田スコアラー「うまいこと反応してうまいことさばいた。なんぼ紅白戦でも、あれだけの打ち方ができるのは力がある。要警戒ですね」

▽広島比嘉編成課長「振れますね。守りも重い感じがしない。実戦で結果を出すのは勝負強い。セ・リーグに少ない、右でパンチ力のある打者」

▽広島土生スコアラー「初実戦でも打撃も守備も落ち着いていた。練習でも引っ張る力はすごい。ツボにはまると大学ジャパンの4番ですね」

<DeNAの二塁手候補>

◆牧秀悟 1発長打を秘めた打撃が持ち味。実戦での強さをアピールした

◆伊藤裕季也 長打力のある打撃が売り。同タイプの牧獲得が刺激に

◆大和 ベテランらしい読みに優れ、守備力はチームで屈指

◆田中俊太 巨人から人的補償で加入。打撃、守備とバランスがいい

◆中井大介 一塁も守る打力型。昨年は主に代打で活躍した

◆柴田竜拓 守備範囲の広さに加え、捕球技術も高い。遊撃定着を狙う