巨人の大塚淳弘球団副代表(61)が17日、都内でジャスティン・スモーク内野手(34)の米国への帰国決定の経緯を説明した。

スモークから15日の全体練習直前に帰国の申し出の連絡を受け、急きょ都内で約30分間、話し合いの席を持った。

大塚副代表 ずっと悩んでいたんだ、月曜日に自分で決断した、と。家族にも相談していなくて、奥さんもびっくりしたと。

スモークの言葉にしっかりと耳を傾けながら慰留を図ろうと試みたが、決意は固かった。

大塚副代表 理由をきちっと聞いてね。来日する目的は野球をすることが第一だけど、3歳と6歳の2人の子どもに日本の文化を学ばせたかったらしい。そういう大きな目的があって、家族愛は人一倍強かったのかな。いつもファミリー、ファミリーと言っていて、いつ来るんだと言って。(入国許可の)交渉はなかなか難しいと。その中で休日とかをフォローしたが、規制がコロナであったので、ストレスがたまっていたんだよね。ストレスを抱えた状態で、周りの選手が一生懸命優勝目指してやっているのに、自分が入ることは申し訳ないと。

話し合いの末、意思を尊重してシーズン途中の帰国を認めた。推定年俸300万ドル(当時約3億1500万円)の2年契約を結んでいたが、残りの年俸は返上することに。この日、巨人はウエーバー手続きをとった。それほど、スモークの家族への思いは強かった。

強打の両打ちの5番打者が抜けることによるダメージは、決して小さくない。大塚副代表は「おそらくピンチですけど、ピンチというのは若い選手に大チャンスだから、必ず出てくる、こういうときは」とプラスにとらえながら、さらに先も見据えていた。

大塚副代表 やはり、優勝を狙うためには補強も大事。慌てて補強してもしょうがない。ただ、国内、海外ともにね、常にリストアップはしているので。今から慌ててじゃなくて、その選手をもう1度どうなのかというのは今、入りましたね、調査にはね。五輪期間も休みはあるから、それを利用して、いい選手がいればね。2軍の選手の出場機会が奪われるので、そこまで無理はしないが、3Aとかでいい選手がいれば選択肢に入る。調査はしていかないといけないなと思っている。

リーグ戦再開の前日に走った、スモーク電撃帰国のショック。大塚副代表は焦らず、冷静に経緯とビジョンを語った。首位阪神とは7ゲーム差。補強と育成という両輪のバランスを見極めながら、巨人が進撃態勢を整えていく。【浜本卓也】