1度は諦めた夢舞台をつかみ取った。17日に支配下選手契約を結んだ巨人平間隼人内野手(24)が18日、1軍初昇格した。

リモート会見に出席し、「(祝福のメッセージは)鳴りやまないくらいきました」とうれしそうに笑った。真っ先に報告した相手は支えてくれた母優子さん。「徳島時代からお母さんにサポートをしていただいた。少しは親孝行できたのかなと思います」と胸をなで下ろした。

力及ばず、1度は夢を諦めた過去がある。鳴門渦潮高(徳島)を卒業後、NPB入りを目指して地元の四国IL・徳島に進んだ。3年間で思うような結果が残せず、家庭の事情もあり退団。電気工事士の見習いになった。半年以上たって、再入団。そこからプロへの道を切り開いた。「1度辞めたことによって野球に対する思いだとか、やっぱり野球が好きだという気持ちができた。今まで以上に集中して野球のために、自分のためにというのが強くなった」と感慨にふけった。

身長は173センチと小柄ながら、巧みなバットコントロールと“キレキレ”な守備、走塁を武器にする。「何事も全力で一生懸命やって、ファンに愛される選手になりたい」と泥臭い、がむしゃらなプレーでファンを沸かせる時を思い描いた。今季はイースタン・リーグ51試合で打率3割2分1厘、2本塁打をマーク。2年目にして支配下契約を勝ち取った。目標とする選手には西武源田とヤクルト青木を挙げた。「源田さんは守備の形も速さもすごい。青木さんはホームランを打ってたり、単打を打てたり、打率残している選手」と尊敬する。

この日からの阪神3連戦(甲子園)で1軍に初昇格。「いきなり甲子園で合流なのでちょっと緊張してます。はやく雰囲気に慣れるというか、落ち着いて平常心になれるように」と初々しい笑顔を見せた。二塁手は吉川が左手中指末節骨骨折で離脱中。若林や広岡も登録を抹消されて、2軍で再調整中とあっていきなりチャンスが巡ってくる可能性は十分にある。泥臭い、“キレキレ”のプレーで猛虎に食らい付く。【小早川宗一郎】