プロ20年目の西武栗山巧外野手(37)が、通算2000安打まで残り2本と迫った。初回に右中間へ適時打を放つと、6回には右前打で打線をつなぎ、チームを14得点での大勝に導いた。4試合ぶりとなるマルチ安打で“クリメーター”は1998に。球団史上初となる生え抜き初の偉業は、38歳の誕生日を迎える3日楽天戦(楽天生命パーク)で達成する可能性が出てきた。

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肌寒ささえ感じる雨風の中、栗山は連打で幕を開けた初回、流れに身を任せた。2点を奪い、なおも1死一、二塁で鋭い打球が二遊間を抜けた。敵地ZOZOマリンのスタンドにも登場した“クリメーター”が、着実に数を刻んだ。6回の第4打席、再び一、二塁で右前へ。7回までに5打席に立ち「仕事ができたというのは、ほっとした部分だと思います」と、連敗ストップに貢献した。

守備でも4回、左中間前方への当たりに猛然とダッシュ。滑り込みながら好捕した。「もう必死っすよ。いつも何とか捕りたいと追いかけているんですけど、今日はグラブに入ってよかった」。チームの勝利のために身をささげ、西武一筋20年。あと2安打で球団初の生え抜き2000本という形になろうとしている。

酸いも甘いも味わったが、背筋が凍る経験も思い出す。若手時代のある夜、埼玉・所沢の旧若獅子寮で寝ていると、寒けがして目が覚めた。薄暗い部屋の奥に人影が…。寝ぼけ眼をこすりながら凝視すると、そこには落ち武者がたたずんでいた。「霊感は特別あるわけではないんですが…」。恐怖にさいなまれ同時に声を張り上げた。「ここじゃない。お前の居場所は。オレに寄ってくるんじゃない!」。消え入るように姿はなくなったという。

当時1軍を目指す立場だっただけに「それだけ追い込まれていたんでしょうかね、1軍に上がりたくて」と今では笑い話だ。2日は移動日で試合がなく、記録達成の期待がかかる3日の楽天戦は38回目の誕生日でもある。「ファンの皆さん楽しみにされていると思うので。僕は一生懸命いつもと変わらずやるだけです」。杜(もり)の都に目を向けた。【栗田成芳】

▼栗山が2安打を放ち、通算2000安打へあと2本。3日楽天戦でプロ野球54人目の記録達成に挑戦するが、3日は栗山の誕生日。これまで誕生日に節目の記録を達成した例には63年6月29日野村(南海)の200本塁打、85年6月27日西本(巨人)の100勝、98年8月19日立浪(中日)の100本塁打、16年8月26日今江(楽天)の1500安打などがあるが、誕生日に2000安打を達成すれば初めてになる。

▼西武辻監督(栗山が通算2000安打まで残り2本と迫り)「明後日(3日)が栗山の誕生日でしょ。だからバースデー2000本ってないらしいじゃん。って源田に聞いたけど。その日に決まったら非常にいいんじゃないかと思ったりしてるけど。可能性は十二分にある」