ヤクルト西浦直亨内野手(30)の小さな拳に、魂を見た気がした。

勝ち越しを許した直後の9回裏。先頭で西浦が打席に立った。ネクストには“代打の神様”川端慎吾内野手(34)。

高津監督の誕生日に、東京ドームで日本一を決めるには、どうしてもまずは1点がほしい。出塁して、川端につなぐことが必須だ。フルカウントから、オリックス守護神平野の6球目、直球は外角低めに外れた。四球を選んだ西浦は一塁に向かいながら、ぐっと拳を小さく握りしめた。

代打川端は右飛、塩見は見逃し三振、続く青木も二ゴロに倒れ、得点にはつながらなかった。それでも選手の「つなぐ」意識は垣間見えた。

あまり表情を変えず、淡々とプレーする印象が強い西浦。日本シリーズ第2戦では、5回までパーフェクトだったオリックス先発宮城からチーム初安打を放ち、守備でも好プレーを見せた。シーズン終盤には新しく軽いバットも取り入れるなど、試行錯誤をしながら調整している。

下位打線から、渋い存在感を発揮する西浦。上位打線に「つなぐ」役割を担っている。【保坂恭子】

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